限界生産量で

「がんばっているのに、いまひとつ成果が上がらない」と感じるときはありませんか。その原因は、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の投入先がまちがっているのかもしれません。そこで、どれがちがうのか。まちがっているのかを探し出すポイントを考えてみたいと思います。

今回取り上げるのは、「限界生産量」です。この原則を理解して、ビジネスに応用すると、現在のリソースで最大限の成果につなげることができるかもしれません。

限界生産量とは何か

限界生産量(MP:Marginal Productivity)とは、他の条件を一定に保ちながら、ある生産要素(例:スタッフ、機械)の投入量を1単位だけ増やしたときに、総生産量がどれだけ増加するかを示す指標です。

この原則は、企業の最適な生産量や人員配置を決定する際の論理的な根拠となります。判断軸といっていいでしょう。

ビジネスへの応用

限界生産量の考え方は、日々の経営判断としても有効です。覚えておいて損はありません。

  • 最適な人員配置
    新しいスタッフを雇うコストと、そのスタッフが生み出す追加の売上(限界生産物の金額価値)を比較し、採算が取れるかを判断できます
  • 設備投資の判断
    新しい設備投資による将来的な生産性向上の金額メリットや追加利益が、投資費用を上回る場合にのみ実行します
  • 広告予算の最適化
    広告費用の追加投入による売上増加効果が最大化するポイントを見極め、費用対効果の高い予算配分を予測できます

しかし、これらの応用の中でも特に大きな成果を生み出すポイントがあります。次に述べる「ボトルネック」です。限界生産量とボトルネックの双方から考え、判断することを考えてみます。

「ボトルネック解消戦略」

限界生産量の原則を最大限に活用するカギは、ボトルネック(システム全体の生産を妨げている最弱部分)に資源を集中させることです。では、なぜボトルネック解消を優先するのか。それは、ボトルネックとなっている工程の「限界生産量」が、他のどの部分よりも圧倒的に高いからです。そのポイントだけを解消したときの成果が最大になるのです。

  • 全体の生産速度はボトルネックで決まる
    どれだけ他の工程が速くても、ボトルネック工程が遅ければ、全体の生産量はその遅い速度に制限されます
  • 他の場所への投入は無駄になる
    ボトルネック以外の余裕がある工程に資源を投入しても、全体の生産量は増えません。その工程の限界生産量は実質的にゼロになります

まとめ

ボトルネック解消には注意点があります。それは、ボトルネックはひとつなのですが、解消してしまうとボトルネックが移動していくことです。成果を維持するには、常に「次のボトルネック」を探し続けるのが普通です。そこだけは注意してください。

まとめると、限界生産量の原則に基づき、ボトルネックとなっている部分に経営資源を「選択と集中」することで、ビジネスは成果を上げることができます。シンプルですが、探すには工数がかかるところ。あわてず取り組みたい領域です。

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