2%台に上昇
日銀の会合後に長期金利(日本国債10年)が2%超えになりました。金利上昇は続いていたので、変化はありませんが、1%から2%へと移り変わるときには心理的に「上がった」感覚が出てきます。今回は、金利上昇の側面を考えてみたいと思っています。単に金利負担が増えるだけでなく、その先に何が影響されていくのかを考えてみたい。
通常に戻るだけなのに
金利の上昇局面において、企業が直面するのは利払い負担の増加というリスクだけではありません。金利には
・「企業の新陳代謝を促し、経済全体の供給力を高める」
という側面があるのです。経済を全体最適で見た場合の意見です。マクロの視点で考えると経済活性化であり、経済の健全化になるのです。
ゼロ金利が長く続いたので、経済の活性化は「厳しい現実」に見えたりしますが、もともと経済の原則は変わっていないので、通常運転に戻るだけなのです。
適正化と淘汰の側面
そこで、これからの「金利のある世界」において、持続的な成長を実現するための戦略について考えてみます。長く続いた超低金利環境は、本来であれば市場から退出するはずの収益性の低い企業を存続させてきたという意見があります。否定はできません。しかし、金利が上昇すれば、利払い負担を上回る利益を出せない企業は淘汰されるのは想像の範囲です。これは一見、厳しい変化に見えますが、経済全体で見れば「資源の再配分」という大きなチャンスと解釈されます。停滞していた企業から移動するであろう人財、設備などの経営資源が、より成長性の高い分野へと流れることで、経済全体の供給力は強化されるストーリーがあるわけです。
成長路線の追求
成長路線の追求が生存条件となることはここから予想できると思います。金利という「資本コスト」が明確になる環境下では、現状維持は後退を意味します。経営戦略は、着実な「成長路線」を明確に描かなければなりません。金利というハードルを越え、成長を得るポイントは、次の2つの指標だと考えています。
- 利益率の向上(収益力の強化)
資本コストを上回る利益を出すためには、薄利多売のビジネスモデルからの脱却が必要。価格決定力を持ち、付加価値の高いサービスや製品を提供することで、高い利益率を確保する - 一人当たりの生産性の向上
労働市場の流動性が高まり、スタッフの確保が難しくなる中で、少ない人数でより大きな価値を生み出す構造への転換が不可欠。DXやAIによる業務効率化は避けて通れず、スタッフ一人ひとりの生産性が企業の競争力を左右します
まとめ
金利の上昇は、企業に対して「真の価値」を問い直すフィルターとして機能することになるでしょう。
高い利益率を確保し、スタッフの生産性を最大化できる企業にとっては、さらなる成長を遂げる絶好の機会。変化を恐れるのではなく、金利という経済の規律を追い風に変え、積極的な成長路線を突き進むことが、これからの経営には求められています。
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