はっきりしない
2026年度予算案が一般会計総額122.3兆円という、過去最大の規模で調整されています。2年連続での過去最大更新となり、いよいよ120兆円台という未知の領域に踏み込もうとしています。震災やパンデミックといった緊急事態ではない「平時」において、これほどまでに予算が膨れ上がる現状は、異常なのではないでしょうか。理由は、有事のときの選択肢が狭まるからです。
膨張を続ける歳出
予算がこれほどまでに巨大化した主な要因は、社会保障費と国債費の増大。社会保障関係費は約39.1兆円に達しています。また、国債の返済や利払いにあてる国債費は31.3兆円と、初めて30兆円を突破しました。金利上昇に伴い、利払い負担が目に見えて重くなっているのが現状です。
税収過去最高でも
一方で、税収も物価高などを背景に83.7兆円と過去最高を見込んでいます。しかし、これだけの税収があっても、全体の支出を賄うには全く足りません。
結局、不足する約30兆円を補うために、29.6兆円もの新規国債が発行されます。そのうち、建設国債ではない、いわゆる「赤字国債」が22.9兆円を占めています。税収が過去最高を記録しているにもかかわらず、借金への依存度がさらに高まるという歪な構造が続いています。これを健全と判断するかは個人判断なのですが通常ならはっきりするのではないでしょうか。
メディアが報じない「慣れ」
本来、これほど巨額の予算案が提示されれば、その妥当性や優先順位についてメディアは厳しく検証し、警鐘を鳴らすべき。しかし、多くの報道は数字の推移を淡々と伝えるのみで、この規模がどれほど異質であるかという本質的な議論は深まっていません。
「100兆円超え」が当たり前になり、120兆円という数字にまで麻痺してしまっている状況は非常に危ういと感じます。非常時ではないからこそ、支出の無駄を徹底的に削ぎ落とし、財政の健全化を図るべきタイミングのはず。
将来世代へ重い負担を先送りし続ける現状を、このまま見過ごしてよいのしょうか。
まとめ
平常運転と見るか、異常事態と見るかは意見が分かれます。しかし、経済の原則から逸脱する行為は異常と判断して間違いありません。その状態が続いていることを認識したいです。
2026年度予算案、過去最大122.3兆円 税収も最高83.7兆円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2430H0U5A221C2000000/
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