経験則が通用しない時期がたまに来る

「去年もこうだったから、今年もこうだろう」「この業界はこういうものだろう」「うちの顧客はこう動くだろう」。

経営の現場では、こうした「だろう」が日常的に意思決定の土台になっています。クルマの運転では「だろう運転」と呼ばれていますが、経営においても「だろう経営」と呼んでいいでしょう。通常なら、昨年がこうだったから、今年はこうなるだろう、でも問題は発生しません。しかし、経験則が通用しない時期がたまにやってきます。10年に1度くらいの発生率でそのような時期がやってくるのです。

だろう、と考えるのはなぜか

人の性質から言えば、実は「だろう」と考えるのは当然であり、真っ当な思考回路でもあります。人は
・パターン化
することで、
・安全を確保
する習性があるからです。また、パターン化すると
・脳の稼働を下げる
・エネルギー消費を抑える
ことも目的のひとつとしているのです。そのため、今年もこうなるだろう、と考えることを優先してしまうのです。なので、その特性を自覚しておくことがここではポイント。自然と、「だろう経営」になっていくので、その流れを自覚しておきたいのです。

「だろう」の対義語は「かもしれない」

クルマの運転の世界では「だろう運転」と「かもしれない運転」という対比がよく使われます。「飛び出してこないだろう」と思って走るか、「飛び出してくるかもしれない」と注意しながら走るか。このちがいが事故を防ぐかどうかを分けます。経営にもまったく同じことが言えます。

「需要は落ちないだろう」
ではなく
「落ちるかもしれない」。

「競合は参入してこないだろう」
ではなく
「参入してくるかもしれない」。

「あの技術はまだ普及しないだろう」
ではなく
「一気に普及するかもしれない」。

このように「かもしれない」で考えることは、悲観的になることではありませんので、その点は理解しておいてください。想定の幅を広げて考えるプロセスなのです。楽観的なシナリオだけでなく、
・中立的なシナリオ
・悲観的なシナリオ
・ワーストシナリオ
を並べて見る。そのうえで、どのシナリオになっても致命傷を負わない判断を選ぶ。これを基本の形としておけば突然のことが発生しても驚かないはずです。

まとめ

会社の方向性を決めるとき、部門ごとで戦略を考えるときは、「だろう」でスタートしながら、でも、そうではない「かもしれない」と考えるようにしておきましょう。そのパターンが定着すれば、大きく道を外れることはありませんし、失敗率も減少するはずです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳(fujiwara takeyoshi) 運営 執筆