「何が変わったのか」よりも

「何が変わったのか」よりも「変わった感じがするかどうか」

いま、ビジネスの世界でそんな逆転が起きているのでは、と感じながら眺めています。

新しい商品、新しいサービス、新しい組織体制。どの企業も「変革」を掲げ、「イノベーション」を語ります。しかし冷静に見ると、その多くは中身の刷新ではなく、「新しく見えること」に力点が置かれています。そしてさらに興味深いのは、それが必ずしも悪いことではないという点です。とにかく新しいものに飢えている時代なのでは?という仮説を持っているのです。

象徴性か

象徴性という言葉があります。象徴性とは、ある行動が「それ自体の効果」を超えて、市場に対してメッセージを発する力のことです。少しわかりにくいので、事例で説明します。

たとえば、ある企業がオフィスのエントランスを全面的にリニューアルしたとします。業務効率が直接上がるわけではありません。しかし、社員は「会社が変わろうとしている」と感じ、取引先は「この会社は勢いがある」と感じる。エントランスという物理的な変化が、企業全体の空気を変えるきっかけになる。これが象徴性の力です。

なぜ「今」象徴性が力を持つのか

象徴性にパワーがある時期というのは、ある理由があると考えています。

第1に、変化のスピードが速すぎて、中身を丁寧に伝える時間がないこと。たとえば、3年かけて取り組んでいても、市場やステークホルダーは「あの会社は何も変わっていない」と判断してしまう可能性が高い。

第2に、情報が飽和していること。どの企業も「AI推進」「サステナビリティ経営」などを語る中で、言葉だけでは差別化ができません。象徴的な行動が必要とされているのです。たとえば経営トップ自らが現場に立つというパフォーマンスが言葉以上の説得力を持つこともあるのです。

第3に、人は論理より物語(ストーリー)で感じるという原則が、むしろ強化されていること。データや分析が重視される時代だからこそ、逆説的に「象徴的な話(ストーリー)」に心を動かされるのです。ここは、求めているレベルではなく、そのようなストーリーに飢えているといっていいでしょう。

ただ象徴性は

ここで注意が必要なのは、象徴性は「見せかけ」だけだということ。根本的には何も変わっていないのです。そうなると、
・象徴性を読み解く力もまた重要
となるのです。たとえば
・市場で話題になっている「新しさ」は、本質的な変化なのか、それとも象徴だけなのか
を見極める必要性があるのです。ここポイントです。

まとめ

象徴性の見極めができるかどうかで、意思決定の質が変わります。象徴に踊らされるのではなく、象徴の奥にある実態を冷静に分析する。その上で、自社はどんな象徴を市場に提示するのかを決定できるのです。そんなことを最近考えながら時代を見ています。

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