先が読めない

仕事は締切に追われるものです。どの業界も似たようなものでしょう。製造現場においては、納期管理の難しさを痛感している人もいると思います。特に、お客様の承認・返答が必要な製品の製造において、その課題は一層深刻になっていると感じます。よくあることですが、お客様から返事がないために製造工程が遅れてしまう現象です。ストップすることもあり、時間だけが経過してしまうのです。返事待ちの時間が長いと製造工程を改善して時間短縮しても、リードタイムはほとんど変わらないこともあり、悩みの種になっています。

納期はずらせない

お客様の返事が遅くなっても、納期は変更なし、ということも多いのではないでしょうか。そうなると、後工程の調整で納期に間に合わせるしかありません。ある工場では、重要な承認が遅れたために後工程が大幅に遅延したのですが、最終工程で何とか調整し納期に間に合わせたことがあるそうです。とはいっても、いつもそんなことをしていたら問題。疲弊してしまいます。

シンプル

製造業の工程管理はシンプルに考えます。毎日進捗しなければならないので、進むことが日常にすることです。止まることは「異常」なのです。お客様からの返事待ちも期日を過ぎると「異常」扱いすべき。ここが見えにくい部分なので、後で分かったときには慌ててしまうのです。お客様からの返事待ちを「見える化」するのがここでは有効でしょう。

改善

改善として、まず納期回答の方法を変えることから始まります。従来型の「確定納期」だけを提示する方法から、段階的な納期回答する方法があります。
1)初回の概算納期
2)生産スケジュール確定後の詳細納期
3)出荷直前の最終確定納期
という感じです。途中で、お客様の返事(承認)がなければ、納期確定しないプロセスがあってもいいでしょう。ルール決めをきっちりしておくことで、精度を高める手法です。

まとめ

DXは、このような課題を解決するには有効です。デジタル化によって、見える化するだけでなく、今まで見えていなかった課題を見つけ、解決に導くプロセスです。製造工程におけるスケジュール管理は、お客様主導ではなく、製造側にあることを意識しましょう。特に、窓口の担当者は、お客様に伝えるべき期日を説明すること。その期日には根拠があることを伝え、理解してもらい、最終の納期が決定するプロセスを理解してもらうこと。ようするに、担当者は単なる窓口ではなくお客様を教育する係でもあるのです。そこから意識を変えると改善しやすくなるでしょう。

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