マーケティング視点からの考察
教育現場(教員)における人手不足、人財確保は、大きな問題になっています。何度も取り上げていますが、その理由は採用マーケティングの視点から見ると、良い事例になるのではないかと考えているからです。各地域で展開されている採用活動の現状を見ながら、マーケティングの視点で考えてみます。
教員採用を取り巻く現状
教育現場では、慢性的な人手不足が続いています。教員が足らないのです。文部科学省の調査によれば、教員採用試験の受験者数は年々減少傾向にあり、一方で欠員は生じています。各自治体は様々な採用活動を展開していますが、その多くは従来型の手法に依存しているのが現状です。目新しさはありません。
駅前でのビラ配りがニュースに取り上げられることもありました。駅や大学、公共施設へのポスター掲示も継続的に行われています。ただ十分な効果を上げているとはいえない状況が続いています。
課題は他にもあります。内定を出しても半数が辞退するところも出ているからです。募集は来るのですが、最終的に断られている状況も認識しておきたいところです。
採用マーケティング
教員採用市場は、他の職種同様、獲得競争の場。従来の「待ちの採用」から、戦略的なマーケティングアプローチへの転換が必要です。現状の採用活動は、往々にして「告知」に終始しており、真の意味でのマーケティング戦略とは呼べないでしょう。しかし、そんな採用戦略をしたことがないと思われるので時間がかかりそうです。
最近、「移住して教員になりませんか」と長野県が呼びかけています。県内出身だけでなく、県外出身者向けに移住(Iターン、Jターン)を呼びかけているのです。取り組みとしては興味深いですが、長野県のようにIターン、Jターンが多いエリアしか有効ではないでしょう。移住者がもともと少ないエリアでは結果があまり出ない様に感じます。
内定辞退問題への対応
内定辞退率の高さは、採用活動の効果を大きく減らしてしまう要因になってしまいます。この問題に対しては、情報ギャップの解消と不安要素への対応という2つの観点からのアプローチがいいのではないでしょうか。
事前の情報提供としては、実際の業務内容や1日のタイムスケジュール、年間行事予定などの具体的な業務実態をリアルに示すことです。また、給与システムの詳細や福利厚生の内容、研修制度についても、できるだけ具体的な説明が必要です。不安要素である「モンスターペアレント問題」などもリアルな姿を公開すべき時期に来ているのではないでしょうか。
まとめ
採用問題は教員だけでなく企業でも同じです。採用に困っている事例を見ると、「どのように解決すればいいのか」を考えるようにしています。教員についてもマイナス印象を払拭する材料がなければ根本的な解決にはならないでしょう。そのマイナス印象払拭のプロセスを考えるようになると戦略が見えてくると思います。
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