営業部門のマネジメント

営業部門のマネジメントにおいて頭を悩ませる問題のひとつに、成績優秀者からの際限ないインセンティブ要求があります。結果が出ているときには、要求が続くことがあります。結果が出ていないときには、沈黙するので一過性の内容ですが、「この人を失いたくない」という思いから要求に応え続けると、組織全体に深刻な悪影響を及ぼすことになりかねません。今回は、過度なインセンティブ要求について考えていきます。

インセンティブ要求に無制限に応えることの危険性

優秀な営業パーソンの要求に際限なく応えることで、以下のような問題が生じる可能性があります。

1. エスカレーションの悪循環

一度要求が通ると、次はより大きな要求をするようになります。これは「ゴールポストが常に動く」状態を生み出し、マネジメントが非常に困難になります。最初は合理的に見える小さな要求でも、時間の経過とともに肥大化し、組織にとって対応が難しいレベルにまで発展することがあります。組織の構造を壊してしまうこともあるのです。この悪循環が進むと、要求が通らない場合の不満や反発も大きくなり、不機嫌をまわりにふりまき、雰囲気をわるくしていきます。

2. 組織の公平性の崩壊

特定の人だけが特別扱いされると、他のメンバーや他の部署のモチベーションが著しく低下します。「がんばっても認められない」「わがままな人が得をする」という認識が広がると、誤解も生じ、マネジメントができなくなります。また「わがままが通る」という悪しき前例を作ってしまうと、他のメンバーも同様の行動をとるようになる可能性があります。社内で交渉した方が楽なのでは、と誤解するようになるのです。特に決裁権がある社長に交渉するようになるのが特徴です。そこしか見なくなり、顧客の方を向いて仕事をしなくなるのも特徴のひとつです。

問題を防ぐための効果的なアプローチ

このような問題を防ぐためには、一貫した対応が効果的。一貫した姿勢と決断が求められます。そこに根拠を持ち、説明責任を果たせるようにすることです。ブレてしまうと対応が後手に回ります。ポイントをまとめると下記の3点になります。

  • 個人的な好き嫌いや、その場の雰囲気に左右されない判断基準を持つ
  • 例外をつくらない、例外措置を行わない
  • 一度決めたルールは安易に変更しない

まとめ

結果が出ているときの過度な要求は、良いときだけ交渉する一方的な内容だと感じます。結果が出ていないときに、下げてくださいとは言わないからです。完全歩合、フルコミッション、出来高払いといった雇用形態なら、過度な要求でも受け入れることはできますが、そうでない場合には、良いときだけの要求にしか過ぎません。なので、一貫性のある態度と決断をすべきだと感じます。

(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)

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