超長期債金利の急激な上昇

日本の国債金利が上昇しています。1ヶ月前と同じ状況に見えますが、どうでしょうか。
・20年債は2025年5月21日時点で金利が2.57%に上昇し、2000年10月以来の高水準となりました。 
・30年債は5月20日に金利が3.14%に達し、過去最高を記録。 
・40年債:同日に金利が3.61%となり、こちらも過去最高水準です。 
国債の金利が上昇しているときには、マイナス点も大きいので、あらためて解説します。

金利上昇の背景と要因

国債の金利は馴染みがないものですが、最終的には生活に影響を及ぼします。その国債の金利の上昇には背景があります。次の2つが大きな要因です。

1. 日銀の金融政策正常化
追加利上げを視野に入れる日本銀行は昨年から国債の買い入れを段階的に縮小し続けている

2. 買い手不足
金利上昇により、大手生命保険会社など国内機関投資家は慎重姿勢を崩さず買い入れを控えている

このように、買い手が減っていることが主な要因であり、買い手が増えない限り金利は上昇をし続けます。政治に関しても、政治家のトップが「日本の財政はギリシャより悪い」と発言したことも影響していると言われています。また、政治家の発言の中に「減税」を掲げているところがあるのですが、その財源が国債発行をもとに減税を主張しているので、国債の人気は薄れているのも事実です。

金融機関への影響

国債金利が上昇すると、金融機関が保有する債券の時価が低下し、評価損を抱える可能性があります。特に満期が長い国債ほど影響が大きくなります。実際に評価損を抱えていると思われます。その評価損を補うために他の資産を売却する動きも今後は予想されています。また、金融機関の評価損が明るみになると預金引き上げによる破綻も発生するので、急な展開が起こることもあるのではないでしょうか。

公的資金の返済

リーマンショック後から金融機関へは部分的に、公的資金か注入されています。信用組合に限って見れば、総額で約2,000億円の資金が投入されていますが完済した信用組合はひとつもないようです。今回の金利上昇でさらに損失が大きくなっている信用組合があるのかはまだわかっていません。

まとめ

国債の金利上昇は直接の影響がなくても、間接的に影響が出てきます。金融庁は地銀の預金流出リスクを検証し始めました。初めてのことです。ネットバンキングが普及した現在では、預金流出のスピードが速く、対応できるかが懸念されているのです。そのような状況があることだけ認識しておきましょう。

地銀の預金流出リスク、金融庁が初の検証へ 金利上昇で早期警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD201IO0Q5A520C2000000

(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)

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