経験をまるごと受け止める

リーダーシップと聞くと、
・「カリスマ性」
・「明確なビジョン」
・「決断力」
・「わかりやすい解説力』
といった言葉を思い浮かべるかもしれません。しかし大切なのは、足元にあるのかもしれません。今回は、少し親しみのない言葉ですが、「現象学(phenomenology)」という考え方から、リーダーシップのあり方を探ります。

現象学は、物事を「ありのままに」とらえ、経験そのものを深く理解しようとする領域。これをリーダーシップに応用すると、スタッフやチームの「現象」、つまり今、何を経験し、何を感じているのかを、自分の先入観や知識を一旦脇に置いて、まっさらな気持ちで受け止めることができるようになります。これが、表面的ではない関係性を築く第一歩だと感じています。

「判断停止」から

リーダーがスタッフと向き合うとき無意識のうちに「この人はいつも遅い」「この件は前にも失敗した」といった過去の経験や固定観念で相手を見てしまいがち。なかなか拭えません。

しかし、現象学的なリーダーシップでは、この「判断」を一旦停止します。これは「エポケー(epoche)」と呼ばれる手法で、目の前のスタッフを偏見なく観察する姿勢です。固定概念、偏見を「判断停止」するのです。そうすると
・今の自分をありのままに見てくれる
・変化した自分を評価してくれる
と感じ、安心するのです。この深い理解の姿勢こそが、チームの潜在能力を引き出す根拠になるのです。

経験する対話

変化に気がつかない人の思考の中には、
・固定した見え方
があります。固定した方が、楽なのです。あの人は、こういう人だ、と考えた方が頭を使うことがなく、省エネなのです。そのため、固定した見え方を維持してしまうのです。これを、エネルギーを使って、固定した見え方を停止すること。今回のポイントはそこになります。

まとめ

この現象学の考え方は知っておいて、ときどき活用してほしい内容です。一緒に働くスタッフも毎日のように顔をあわせますが、急に成長するときがあるはずです。その変化に気がつくリーダーは、「固定概念」を持たない人なのです。毎日接するたびに、新しい面を見つけるようにしているのです。昨日と同じスタッフだと固定してしまうと、変化には気がつかないでしょう。その柔軟さは忘れないでいたいです。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆