前始末という考え方

「なんだか毎日、問題処理やクレーム対応に追われている…」
「仕事が終わっても、いつも後片付けや修正作業が残っている…」
もし、このように感じているなら、日々の仕事が「後始末」中心になっているのかもしれません。そうならないために、今回は、仕事の質と心の余裕を劇的に変える「前始末」という考え方について開設します。

前始末とは

後始末という言葉はよく使われる言葉です。何かミスをしたり失敗したら後で解決することです。物事が終わった後、その結果を処理し、片付けることです。
・トラブルが発生した後のクレーム対応
・プロジェクトで起きたミスの修正作業
などが後始末と呼ばれています。では、前始末とは何か。前始末は、その逆に、
・物事が起こる前に、問題が発生しないように先回りして手を打っておくこと
になります。大企業の創業者やCEOの中には、この「前始末」という言葉を多用する人がいます。

具体的には

前始末の例としては、
・緻密な段取り
  プロジェクトを開始する前に、作業の順序や担当者を明確に決め、無理のないスケジュールを組む
・リスクの予測と対策
  「もし〇〇が起きたらどうするか?」を事前にシミュレーションし、対策を講じておく
ことになります。「転ばぬ先の杖」という表現で表される内容です。

前始末後始末
タイミング 事前事後
考え方Proactive(主体的・予防的Reactive(受動的・対応的)
焦点問題の発生を防ぐ発生した問題に対応する
状態心に余裕があり、主導権を握れ常に何かに追われ、受け身になる

問題点

少し気になるところとしては、後始末を知っているリーダーが活躍しているように見えることです。前始末の上手なリーダーほど何もしていないように見えるのです。ただ、チームの結果を見るとわかりますが、ミスがなくスムーズに仕事が流れており、最終的にはリーダーの評価につながります。何か問題が発生していることを、常に叫んでいるリーダーは後始末ばかりしている可能性が高いです。この点は要注意だと感じます。

まとめ

すぐれた「前始末」は、大変な「後始末」を最小限にしてくれます。もし今、ミスが多発し後始末の業務に追われ、疲れていると感じるなら、一度立ち止まってみてください。そして、「どうすれば事前に手を打てただろう」と考えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
仕事の成果は、始まる前に決まっています。今日から「前始末」を意識して、一歩先を行く仕事術を身につけましょう。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆