疑問がある
「最近の若い世代は車に興味がない」自動車業界や、車好きの間で、この言葉はため息とともに語られて久しい。メーカー各社は若者向けのイベントを企画し、キャンペーンを打つ。しかし、本当にそれで「車好き」が増えるのだろうか。わたしには、そう思えない。その点を解説してみたい思います。
遅すぎるのだ
学生向けのアプローチは根本的に「遅すぎる」と断言したい。車好きは、大学生になってからでは育たない。そう考えている。
結論から言おう。
「こどものころに運転しない人が、大人になって運転を好きにはならない」
これがわたしの持論です。興味の範囲もこどものころに決定してしまうのだ。その理由を説明する。
答えは「7〜8歳の壁」にある
学生向けだと、なぜ遅いのか。その年齢だと遅い理由がある。それは「運動神経は7〜8歳で決まる」とよく言われるからだ。この時期に、体を動かす楽しさ、道具を操る感覚を経験することが、その後の運動能力や興味の土台を形成する。その中に運転が入っているかがカギになる。
この時期を逃してしまえば、いくら大学生になってから車の利便性や格好良さを説いても、あの本能的な「運転する楽しさ」に目覚める人は増えない。運転好きは増えないのだ。
こどもも、乗れる
ようやくですが、こどもを、対象とした取り組みが出てきた。危ない、危険、と思われるカートを、「こどもも乗れる仕様」で発売する。しかも、金額もお手頃。「トヨタ、子供も乗れる『GRカート』を2026年秋に発売 30万円台、車好き増やす狙い」と報道されている。このカートに乗るこどもたちの中に、必ず大人になっても運転好きが生まれてくるはず。未来への「種まき」を評価したい。
投資として
表面的なマーケティングに終始しがちな中で、トヨタが取ろうとしているこの戦略は、自動車業界の未来に対する最も本質的で、長期的な「種まき」だと感じる。大学生に訴えても響かない層に広告費を投じるより、7〜8歳の子どもたちに本物の運転体験を提供する。どちらが10年後、20年後の「車好き人口」を増やすことに貢献するかは火を見るより明らかだ。
まとめ
この施策は有効だと感じる。ここまで対象の年齢層を下げることが有効。しかし、時間がかかる施策なので各メーカーもあまりやらない。実際にカートの試乗は事故も発生しており、危険なことには変わりない。しかし、危険だからといって避けていては将来の顧客は創造できない。安全を確保しながら、進めていくのが正解。今回の施策の有効性を感じる。
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