インフレ時に大手企業が「値下げ」
企業経営を取り巻くニュースは、円安や物価高騰といった「インフレ」が続いています。経営者の方に聞いたところ
・あと1年ぐらいインフレ続く
・2年間はインフレ続く
・3年以上インフレ続く
と意見が分かれました。過去を振り返るとインフレがなかった時代が20年続いたので、意見が分かれるのでしょう。
業界ごとにインフレの状況を見ていますが、全部がインフレになっているわけではありません。業界をリードする大手企業が、あえて「値下げ」に踏み切るという動きがあるからです。そうなると、その業界はデフレに陥っていきます。ミクロとマクロでは動きが逆。そうなるのです。
1. 続くインフレ圧力と、業界リーダーの「異変」
原材料やエネルギー価格の高騰、そして久しぶりの円安。これらがコストを押し上げる「コストプッシュ型インフレ」によって、日本全体では物価が上昇し続けています。しかし、その中で、一部の体力のある大手企業が値下げに踏み切るケースが見られます。体力があるか、もしくは、粗利が高い(コストが低い)企業が値下げをしています。値下げができる体力と余力がある企業ともいえるでしょう。業界に値下げができるようなトップ企業(コストリーダーシップ)がある場合は、注意が必要です。
「部分的なデフレ」の発生
この大手企業の値下げは、単なる一企業の戦略に留まりません。業界のリーダーが価格を下げることで、その製品・サービス分野では一時的に「部分的なデフレ」が発生しまうのです。小売、飲食ではよく見られる光景です。もともと競争が激しく、しかも大手が強い業界です。その場合、他社も追随せざるを得ない状況に追い込まれ、その業界全体の価格水準を押し下げる「デフレ圧力」となっていくのです。
「デフレ再燃」の可能性
大手企業の値下げという動きは、長年のデフレから脱却しようとしている日本経済にとって、非常に厄介なシグナル。一部の経済専門家からは、「日本はインフレが続かず、再びデフレに戻るのではないか」という極端な意見さえ出ています。そこから、現在の日本経済を考えてみると、全体的なインフレ傾向が優勢であるものの、部分的なデフレ圧力も混在するという極めて複雑な局面だになっていると感じます。
まとめ
現在の日本経済は、円安とコスト高による「インフレ」と、大手企業の値下げによる「部分的なデフレ」が同時に存在する、非常にめずらしい状態なのかもしれません。この2つの波のどちらが最終的に優勢になるのでしょうか。インフレの方が強いとは感じますが、部分的にはデフレも発生しておかしくないと感じます。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆
