2倍の3兆円

地方銀行の国内債の含み損が1年前の2倍の3兆円まで膨らんでいます。債券の金利が上昇しているからです。地方銀行は金利が上昇すると収益が増えます。しかし、以前から保有している国内債の含み損は逆に大きくなっていくのです。そのため収益性の高い地方銀行は今のうちから含み損が出ている国内債を売却し、損切りしています。しかし収益が出ていない地方銀行はそれができません。含み損を抱えたままです。

新しい動き

そんな中、とある地方銀行の株式の5%をホテル会社が取得しました。3割以上ここまで買い進めることも視野に入れているようです。他の地方銀行にもお金を投入することも検討しているようで、ホテル会社が地方銀行に資金を投入して関係性を作る時代になったということです。かなり目新しい動きだと考えています。

異業種からの参入

地方銀行の再編は進んでいますが、このように他の業界からの参入も今後増えるのではないでしょうか。合併という形だけではなくて、異業種からの参入による経営の交代が発生すると思います。伝統的な業界で異業種からの参入が発生することは、軽い驚きであり、変化の幅がそこまで来ているのか、と感じます。

都心部で

地方銀行は、地方で収益をあげている。そう感じると思いますが、実はちがいます。地元だけで金融業をしているのは、信用金庫です。地方銀行はエリア限定ではありません。そのため、どの地方銀行も都心部へ進出しています。しかも、優秀なスタッフほど、都心部へ異動しています。新規開拓を積極的に行なっているのです。

相続後のお金も都心部の相続人のところに行ってしまいますし、シニア層も都心部へ移住する動きもあり、どうしても都心部での活動を外すことができないのです。

まとめ

収益が増え始めたのに、含み損も増えていくジレンマ。そのスパイラルに地方銀行はいます。地方銀行の動きは経営へのダイレクトに影響するので目が離せません。今後も地方銀行の再編や提携が続くでしょう。特に自分たちが付き合っている地方銀行の動向は知っておきたいところでう。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆

地銀の国内債含み損、2倍の3兆円 上位行は損切りも下位にリスク蓄積
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB119U20R11C25A1000000/