たった10年でイベントになった

11月になると、ネット広告で一斉に目に飛び込んでくる「ブラックフライデー」の文字。クリスマス商戦の幕開けを告げるこのセールは、もはや日本でも当たり前のようになってきました。そのように感じている自分がいます。しかし、「そもそもいつから日本で始まったの」と疑問に感じている人もいるのではないでしょうか。

今回は、この一大ショッピングイベントの起源と、日本で広まった背景を解説してみます。

発祥はアメリカ

ブラックフライデーは、アメリカの伝統的な祝日である「感謝祭(11月第4木曜日)」の翌日、金曜日からスタートします。以前はリアル店舗で深夜0時から開店していました。殺到して繁盛する年間のイベントなのです。当初は明確な名称がなかったようです。この「ブラック」という言葉には、かつてネガティブな意味合いもありましたが、現在はポジティブな意味で定着しています。

警察官が名付けた「真っ暗な金曜日」

この金曜日は、連休で街に人があふれ、大渋滞と混乱が発生します。警察官がその忙しさと街の混乱ぶりを皮肉って、最悪の日という意味で「真っ暗な金曜日(Black Friday)」と呼んだのが始まりとも言われています。また感謝祭翌日は、体調不良などと言って欠勤者がいたそうです。会社が稼働できなくなるのでブラックフライデーと呼んでいたこともあるようです。

年間収支が「黒字」になる日

イメージ転換をやりがちになりました。感謝祭の翌日には買い物客が殺到し、収支が赤字(レッド)から一気に黒字(ブラック)へ転換するほど売上が上がることから、「黒字になる日:ブラックフライデー」と呼ぶようになったという説も最も広く知られています。

日本での「ブラックフライデー」

日本にはアメリカの「感謝祭」の習慣はありませんが、小売業界にとって「ブラックフライデー」というイベントとして定着しています。小売店にとって、12月のクリスマス・年末商戦は一年で最も大切な稼ぎ時。しかし、その直前の11月は、イベントが少なく売上が伸び悩みやすい時期でもあるのです。ブラックフライデーを導入することで、この11月に強力な消費喚起のきっかけを作り、年末商戦への勢いをつけるという戦略的な目的が裏側にはあります。

たった10年ほど

日本で「ブラックフライデー」が広まり、巨大なショッピングイベントとして定着したのは、わずかこの10年ほどのこと。それほど時間は経っていません。

年代主な動き
2014年日本トイザらスが初の本格的なセールを開催し、日本のブラックフライデーの草分けとなりました
2016年大手流通グループのイオンがセールを展開。これにより一般消費者の認知度が向上し、イベントとして定着するきっかけになった
2017年以降楽天やAmazonなどのECサイトも本格的に参入。多くの家電量販店やアパレルブランドも追随。日本を代表する11月のセールイベントとして定着

まとめ

10月のハロウィンイベントも日本では定着し大きな市場になっています。この11月のブラックフライデーも、閑散期の売上を確保するためには重要なイベントとなりました。中国では11月11日が独身の日というビッグセールを毎年行っています。似たような内容で閑散期の売上を確保するイベントを行い、新たな売上をつくったことになります。イベントは数年間の準備期間が必要ではありますが、最終的にイベントとして定着していくことがここからわかります。継続することの大切さを感じます。

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