なぜ本を読めず、映画を最後まで観られないのか

「長い本を読むのがつらい」「本が読めなくなった」「映画の途中でつい他のことをしてしまう」と感じたことはありませんか。もしそうなら、脳は「ポップコーン・ブレイン(ポップコーン脳)」の状態に陥っているかもしれません。この言葉は、熱いフライパンの中でポップコーンが次々と弾けるように、脳の注意がランダムかつ絶え間なく、新しい刺激に飛び移ってしまう状態を指します。

脳が、なぜこのような落ち着きのない状態になってしまったのでしょうか。実感していると思いますが、その原因は、「デジタル環境」にあります。

ポップコーン・ブレインを加速させるデジタル習慣

現代のデジタルコンテンツは、脳の報酬系(ドーパミンを放出する回路)を強力に刺激するように設計されています。本当によくできています。アルゴリズムとも呼んでいますが、スマホを見たら、止まらないのです。たとえばショートムービーを見始めたら「時間が溶ける」と表現する人もいます。しかも同じものを見ているのではなく、数秒、数十秒ごとに画面を切り替えていきます。じっとひとつのことに集中しているのではなく、次の刺激を探し求める行動です。

脳は、この速く、軽い報酬に慣れてしまうと、以下のような変化が起こります。

  • 集中力の低下
    長時間の集中を要するタスク(読書、仕事)を「退屈」だと感じ、すぐに切り替えたくなる
  • 焦燥感
    報酬が得られるまでの時間が長いほど、イライラやそわそわとした感覚が強くなる

あえて没頭する習慣を

短い刺激のサイクルに慣れてしまうと、じっくり取り組むことができません。ひとつのことに没頭することを忘れてしまい、逆に「面倒」だと感じ始めてしまいます。読書習慣はまさしくそうで、「本が以前のように読めなくなった」人が増えているのは事実です。そのため、紙の書籍にあえて戻る人が出ています。スマホで読書していても、「通知」ばかり届くので読書に集中できません。

仕事でも同じ

仕事においても同じです。メールやグループウェアの通知が目に入ると仕事が中断してしまうのです。今取り組んでいる仕事に集中できない。集中するためには、
・通知が目に入らない環境
を意図的につくることも意味が出てきたのです。

まとめ

ポップコーン・ブレインの状態になったと自覚したら、環境設定を変えることです。パソコンも通知が来ない設定にするのもひとつの方法です。スマホは伏せておきましょう。ひとつの仕事を最後までやり遂げる習慣をあえて増やしていく。そこが今回のポイントです。

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