金融庁の報告書
「老後資金は2,000万円必要」という内容の報告書が2019年に出ました。金融庁の報告書「高齢社会における資産形成・管理」です。この数字は高齢化社会における資金の目安とされてきました。
しかし最近、新聞や雑誌などのメディアでは
・「老後資金は1億円を目指す」
といった目標額を目にすることが増えてきました。
政府の試算である「2,000万円」と、メディアで語られる「1億円」。このギャップが気になります。それぞれの試算の前提の違いを考えてみたいです。
最低限の目安2000万円
政府の試算の根拠となった「2,000万円」の前提を確認すると、公的年金だけではまかなえない「不足額」の目安の合計が2000万円だとわかります。
| 期間 | 老後期間を30年間と仮定(95歳まで) |
| 生活水準 | 平均的な支出を前提 |
| 不足金額 | 毎月約5万円不足 |
| 30年間不足額 | 1,800万円〜2,000万円 |
インフレとゆとりを考慮したら
その一方で
・1億円必要
としているのは、
・インフレ
・ゆとり生活
を前提にしているからです。余裕率を考えていくと1億円程度を目指すべきではないかという提案になります。今までは「ゆとりある生活」を実現するための余裕資金でしたが、最近は意味が変わってきました。インフレの影響が大きくなっているのです。
インフレ予想
現在インフレが続いています。そのため、現金の貯蓄は目減りします。価値が下がります。買えるものが減っていくのです。年金も物価スライドにはなっていますが、物価上昇に追いつかないことも想定されており、厳しい現実が予想されています。
インフレの試算すると
・2%インフレが継続→36年後に買えるものは1/2になる(物価2倍になる)
・3%インフレが継続→24年後に買えるものは1/2になる(物価2倍になる)
のです。2000万円で買えるものが1000万円の価値まで減少することになります。
まとめ
ざっくりとして試算ですが、今後はインフレを加味して判断をする時期になったということ。老後資金も最低2000万円ではなく、倍は必要になるかもしれません。数字に対するリテラシーが問われる時期にもなると感じます。
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