教えるには2つある
スタッフの成長を止めるリーダー、成長を加速させるリーダー。ちがいはどこにあるのでしょうか。いくつかポイントはありますが、今回取り上げるのは、
・指導
・育成
のちがいです。教えるという行為には2種類で分けるケースがあるのです。このちがいを理解するリーダーと理解していないリーダーによって、スタッフの成長速度がちがってしまいます。
「指導」と「育成」の使い分け
どちらが良いというわけではなく、場面によって指導と育成を使い分けます。その行動は
・指導行動
・育成行動
に分かれます。
指導行動→具体的スキルを教える
育成行動→姿勢、考え方、責任感、モチベーションを伝える
と思っておいてください。具体的には、
・指導行動とはスキルを教えること
であり、指導行動の焦点は「業務遂行能力」、つまり「やり方(How to do)」を教えることです。具体的なタスクの手順、ツールの使い方、業界知識など、業務を完遂するために必要な技術を教える行為。これは即効性があり、ゴールはスタッフがその仕事を「できる」状態になることです。アプローチとしては、ティーチングやマニュアルの活用、OJTでの手本提示などがこれに当たります。
もう一方の
・育成行動とはスタンスを教えること
になります。育成行動の焦点は「人間的・精神的成長」、つまり「あり方(How to be)」にあります。仕事への姿勢、責任感、モチベーションの維持、プロとしての価値観などを教え、育む行為。こちらは成果が出るまでに時間がかかりますが、ゴールはスタッフがその仕事を「やりたい」と思える状態になること。高いゴール地点になります。アプローチとしては、対話を通じた機会、動機づけ、権限移譲などになります。
マネジメントの現場で、スタッフがなかなか育たないと悩むリーダーは少なくありません。教えたはずなのにできない、あるいは、仕事はできるけれど意欲が感じられない。こうした悩みの多くは、リーダーがアプローチを混同していることに起因していると考えています。現場でそのような場面に出会うと、指導と育成を理解していないケースも少なくありません。
段階に合わせた使い分けが重要
指導と育成はスタッフごとによってちがいます。場面に応じて使い分けすることになります。これをまちがうと、教える側と教えられる側のミスマッチが生じます。ミスマッチを見ると、この2つのバランスを間違えていることがわかります。
たとえば、入社したばかりの新人スタッフに対して、具体的なやり方(指導)を教えずに「仕事への想い(育成)」ばかりを語っても、現場では動けません。
逆に、十分なスキルを持っているベテランスタッフに対して、細かい手順ばかりを指示(指導)してしまうと、相手は信頼されていないと感じ、モチベーション(育成面)が下がってしまいます。
新人や未経験者には「指導8割:育成2割」で、まずは手取り足取りスキルを教え、貢献スタッフになってもらうことが先決。中堅や自立したスタッフには「指導2割:育成8割」へシフトし、細かい指示は減らし、仕事の意義やキャリアの方向性を共に考える時間を増やすことになるでしょう。
まとめ
目の前のスタッフが今必要としているのは、具体的な「スキル」なのか、それとも仕事に向き合う「スタンス」なのか。この違いを察知するのたリーダーの役割のひとつ。マニュアルではできない部分です。察知した内容によって、かけるべき言葉や取るべき行動は劇的に変わります。まずは今の関わり方がどちらに偏っているか、予測するところからスタートしてください。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆
