アフォーダビリティ

住まいの確保しやすさを表す「アフォーダビリティ」という言葉があります。あまり使わない言葉のひとつです。ただ、住宅の購入のしやすさは経済に指標になるので、取り上げます。その基準となる指標があるので、知っておいて損はないでしょう。またその指標の推移が経済状況をあらわしているともいわれます。客観的な数値のひとつになると思います。

測る2つの基準

住宅がその人にとって適正な価格かどうかを判断するには、主に2つの指標が用いられます。ひとつは

1)住宅価格が年収の何倍にあたるかを示す「住宅価格年収倍率」。住宅価格年収倍率の最近のデータでは、約7倍に達しており高い数値が続いています

もうひとつは、
2)所得のうち家賃やローンの返済が占める割合を示す「住宅費負担率」です。一般的に、住居費が所得の30%〜35%とされ、35%を超えるとアフォーダビリティに問題があるとされ、生活の質を圧迫する要因となります

どちらの指標も振り返ると数値がだんだんと高くなっているのが特徴です。30年前と比較するとわかりやすいです。
・住宅価格年収倍率:5倍
・住宅費負担率:25%
が指標でした。これが現在は7倍と35%まで上昇しているのです。実際に考えてみればわかりますが、どちらの指標も現在の値はかなり厳しい値です。住宅取得した後の支払いが厳しいということです。以前の基準内が理想だと今でも感じます。

アフォーダブル住宅の供給に向けた動き

数年後には価値観転換で住宅に対する考え方も変化するでしょう。不必要な大きさの住宅は不要だという認識が広がるはずです。ドラマでも「平屋」の家が登場しており、シンプル生活の方がいいよね、という価値観が増加すると予想しています。住宅費用の負担が減れば、生活も豊かにできるという現実もあります。

まとめ

新築を建てることが普通な国は日本だけでしょう。新築志向です。これは戦後の産物。でも限界が出てくるでしょう。20年後30年後のことかもしれませんが、人口減少とともに住宅への価値観も変わっていくはずです。そのきっかけは、住宅ローンの厳しさが現実になったときかもしれません。コンパクト設計の住宅でもいいのでは、という考え方に一気に流れていくような気がしています。

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