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〜1日3分、3ヶ月で1冊分の知識転移〜経営コンサルタント藤原毅芳執筆
財務省の資料からわかる財政状況
国の債務残高について財務省の資料が発表されています。(2019年4月)
こうした数値はまずは客観的に数字を見ること、冷静になって
把握することだと感じています。
内容としてはあまり目を向けたくないものですが直視すべきでも
あります。
経営には避けられない環境のひとつだからです。
総論は次のとおり。
今年度は(略)平成2年末の5.3倍に当たるの883兆円もの公債残高。
「わが国財政の現状等について」より抜粋
一般政府債務残高は対GDP比に238%達してようとしている。
第二次世界大戦末期の水準に匹敵。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia310417/01.pdf
右肩上がりの状況です。
このような右肩上がりは歓迎できません。
詳しく見ていきます。
データ・グラフからわかること
データからわかることを探ります。
下記は一般会計の歳出と歳入の状況。
入りと出をグラフ化したものです。
↑わかることは、税収より歳出が多いこと、その差が平成で大きくなって
いること。
赤の折れ線が一般会計歳出、青の折れ線が一般会計税収。
明らかな赤字体質が続いています。
公債残高の累積
↑公債残高の累積は現在897兆円。
平成2年が166兆円だったので約30年かけて5倍に。
ここがニュースでも話題になる国の借金。
国民1人あたりに換算すると約700万円。
4人家族だと約2800万円の負債ということに。
見たくない現実ですが直視すべき内容です。
債務残高の対GDP比
↑では債務残高が、GDPと比較してどの程度になっているのか?
日本は230%台。
GDPの2.3倍の水準まで大きくなっています。
平成2年時では60%程度でした。
ここでは諸外国と比較しています。
ちなみに、
- ドイツ67%
- 英国87%
- カナダ91%
- フランス96%
- 米国106%
- イタリア132%
となっています。
突出しているのがわかります。
ギリシャ183%と比較しても日本の異常値が実感できます。
国の貸借対照表B/S
↑上記は国の貸借対照表(バランスシート)。
企業の表記と違いますが債務超過状態であることはわかります。
仮に資産をすべて売却できたとしても568兆円のマイナス。
実際にはすべての資産を売却することは不可能なのでマイナスは
さらに大きくなるということです。
売却換金できる資産を差し引くと
↑今度は売却換金しやすい流動性の金融資産を総債務残高から
差し引いた場合。
それでも総債務残高はGDPの152%。1.5倍も残ります。
この辺りは議論が分かれるところ。
流動性がある、ないの判断で意見が分かれるからです。
売却できるのだが売却してしまうと経済の混乱を引き起こす
資産もあるからです。
日本の財政が破綻する、しない、という議論もこのあたりが
論争になっています。
資産をどう解釈するのか。
だれが債務者なのか。
その定義によって解釈が分かれているのです。
依存度が高いという問題点
↑現在の問題点は「公債依存度の高さ」。
公債依存度が高いということは問題を先送りにしており将来の世代が
責任を負うことに。
とは言っても、将来の世代には決定権が今はないので先送りがストップ
する可能性は低い。
それが現実です。
出口戦略がない?
↑課題に対して解決策はあるのか?
出口戦略は存在しているのか?
日本では同じような状況が第二次世界大戦後に経験しています。
多額の軍事費を国債(戦時国債)で調達したがそのまま負債になり戦後、
ハイパーインフレーションを起こしました。
結局のところ戦時国債が犠牲になり収束。
戦時国債を購入した人たちは資産を減らしました。
個人の資産で国の借金を返した形で終わったのです。
↑現在は財務残高が戦前と似たような水準まで達しています。
これをどう読み解くのか。
楽観的に解釈すれば、そうならなかった時に想定外の状況が
訪れます。
経営的には、悲観的に解釈すべきと考えます。
まとめ
こうしたデータはグラフ化されると理解しやすい。
そこからわかることを経営者は悲観的に見ることです。
ネガティブな推測をするということ。
もしもの場合を想定し、その時に何ができるのかを
考えておくことです。
もうひとつは、企業の価値やゴールをどこに設定するのか、ということ。
無借金経営をゴールとする経営者もいますが万全ではないと感じます。
それよりは無形の資産に価値を置いて投資すべきだと考えています。
その方が次世代へとつながる経営になると思います。