【fjコンサルタンツ365日Blog:3568投稿目】fjコンサルタンツ藤原毅芳 執筆

タクシー会社で効果あり人工知能AI

人工知能AIがトレンドキーワードになって時間が経ちますが企業業績に貢献しているという話はまだ少ないと感じています。人工知能AIを導入する、搭載する、という話ばかりで成果が出ているのかがまだ検証できるほどの実績が出ていないと感じています。そんな中でタクシー会社でひとつの事例が出てきました。

タクシー

人工知能AIを導入したのは

東京無線タクシー。

http://www.tokyomusen.or.jp/

導入内容は、

・30分後の需要をエリアごとに表示

するシステムです。

たとえば遠距離のお客様を降ろした後空車で戻る時に、どこのエリアに寄ればお客様がいるのかを指示してくれるのです。

https://www.nttdocomo.co.jp/biz/service/aitaxi/

これにより実車率が3%上昇。特に新人ドライバーは効果が大きかったそうです。新人の売上が1日あたり3000円〜4000円のアップになったということです。

検証期間は4ヶ月。実際のタクシー総台数3760台のうち1350台に人工知能AIを搭載して検証した結果です。これによりこのタクシー会社は全台数で人工知能AIを利用することになりました。

タクシー業界は、ドライバーの環境整備のためにカーナビゲーションを導入したりして改善に努めてきました。そのため女性ドライバーの増加にもつながっています。経験値がなくても一定以上の成果を出せる環境が整備されつつあるともいえます。

今回の人工知能AIはモバイル空間統計

今回のAIタクシーはNTTドコモが提供しています。具体的には「モバイル空間統計リアル版」を利用しています。

https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/disclosure/mobile_spatial_statistics/

誰が(年齢層、性別)、どのエリアに何人いるのかをリアルタイムでわかる仕組みです。ドコモは携帯電話の利用状況をリアルタイムにつかんでいるので、その情報を利用していることになります。グラフ化すると下記のような感じに表示されます。

このリアルタイムなモバイル空間統計とタクシー運行データを組み合わせて30分後の需要を予測しているのです。タクシードライバーには、地図上に各エリアに区切って「数値」が表示されます。

需要が多い場所(数値が大きい場所)に行けば実車率が高まるということです。今までは経験値やドライバーのリサーチによって差がありました。優秀なタクシードライバーは、

・とにかく流す(距離を走ってお客様を探す)

・エリアのイベントを確認する

などの努力をして成績アップをしています。そんな経験値を必要としない仕組みになるということです。

こうした職人技が人工知能では標準化されると一気に成果が出ます。このタクシー会社も想像以上の結果が出たので全車導入となったと思われます。人工知能AIの成果を今後も集めながらどの分野、どの条件、どの環境によって成果が出やすいのかを見極めていきたいところです。

【出典】

https://swri.jp/article/425