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~1日3分、3ヶ月で1冊分の知識転移~経営コンサルタント藤原毅芳執筆
終身雇用を守れない、制度疲労を起こしている
朝イチの飛行機移動。(下記写真)
新型の飛行機は各座席に液晶があります。
USB差込口もありスマホの充電も可能。
エンタメのコンテンツは豊富で選択に迷うほど。
今回は、あいみょんの「瞬間的シックスセンス」を。
好きとか嫌いとか関係なく、売れてる曲はチェックということで。
音楽を聴きながら読んでいたのは「雇用」関連の文献。
というのも「終身雇用守っていくの難しい」とトヨタ自動車社長が昨日発言。
先日は経団連の会長も終身雇用について「制度疲労を起こしている。
終身雇用を前提にすることが限界になっている」と記者会見で述べて
いるからです。
わたしの中では終身雇用は制度として有効性が低下しているのを感じて
いました。
この発言をきっかけに、今回はこの終身雇用について振り返ってみたいと
思います。
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終身雇用とは
終身雇用とは「日本的経営」の代表的な制度のひとつ。
会社が定年まで雇用を約束する制度です。
「日本的経営」の特徴は
・終身雇用制
・年功序列制
・企業別組合
「J.C.アベグレンの日本的経営論 -中小企業分析への展開-」https://geitan.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1619&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
の3点。
その中でも終身雇用制は中心的な制度でした。
終身雇用制があってこそ年功序列制も成立します。
それほど中心に位置していたのです。
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終身雇用制のメリット
終身雇用制のメリットは、働く人が安心できること。
安心できるからこそ会社で能力を発揮する。
ここが終身雇用制の最大メリットです。
これは会社側だけでなく、スタッフも安心して能力を開花できる
というメリットがあり両者にプラス。
逆に終身雇用がない場合、能力の発揮する方向は自分にしか向きません。
会社のために、という方向性は限定的になってしまうのです。
しかも不安定な精神状態で能力開花は難易度が高い。
そう考えると終身雇用制のメリットは大きいことに気付かされます。
終身雇用制のデメリット
終身雇用制のデメリットは、会社の新陳代謝が発生しにくいこと。
スタッフの入れ替わりがないため現状維持になりやすいという
側面もあります。
また毎年新卒を採用しなければスタッフの年齢構成がアンバランスに
なってしまうこともデメリット。
終身雇用制の場合、長期的な構想で組織をつくる必要があるのです。
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いつから終身雇用制は崩壊し始めたのか
終身雇用制が崩壊し始めたのはいつからなのでしょうか。
それは派遣社員制度ができた頃からだと考えています。
派遣社員のスタートは、1985年「労働者派遣法」が成立してから。
そこから派遣社員が広がっていきました。
実に30年以上前からです。
これはアンチ終身雇用の制度。
必要な時だけ、人員を増やしたいという要望を実現する制度で
派遣社員なら正社員のように終身雇用しなくていいわけです。
現在においても派遣社員は存在しており必要とされています。
ということは、徐々に終身雇用制は崩壊していたとも言えるのです。
終身雇用を取り巻く日本的経営は下記を見るとわかりますが
消滅へ歩んでいたのです。
『日本の経営』が執筆されてから約50年の間に、終身雇用制を支える正社員の比率の低下、年功序列制にとらわれない成果主義の導入、各種手当の廃止など、日本的経営の特徴が消滅する方向の取り組みは、めだってきているように思える。
「J.C.アベグレンの日本的経営論 -中小企業分析への展開-」https://geitan.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1619&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
まとめ
今回の経団連トップ発言、日本トップ企業の発言は終身雇用制の
終止符を宣言するような形だと感じます。
これからは「終身雇用制ではない」と社内外にも言うことが
できるのです。
時には人員を調整することも可能になります。
今までは終身雇用制について明言は避けてきただけでタイミングを
見計らっていたのかもしれません。
令和のはじまりが終身雇用制消滅宣言となりました。
これも時代の象徴となるでしょう。