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~1日3分、3ヶ月で1冊分の知識転移~経営コンサルタント藤原毅芳執筆

解雇規制緩和を提言

人を採用したくても人財の流動性が低い日本では
難易度が高い。
採用できる人がいないことも多い。
スタッフの入れ替えもあまり行わない。
流動性が高い方が良いのか、良くないのか議論は
分かれますが、どちらにしても人材確保は経営の優先課題で
あることは確かです。

労働者の減少(生産年齢人口の減少)が予測される中、
企業経営は優秀な人財の確保がだんだんと困難になります。
企業は人が財産であり確保することが生命線。
大企業や各種経営団体が終身雇用制について明言しましていますが
同時期に「解雇規制緩和」の提言もされていました。

公益社団法人 関西経済連合会(http://www.kankeiren.or.jp/)が
2019年4月23日に発表した

提言「多様な人材の柔軟な働き方を実現する雇用のあり方」

http://www.kankeiren.or.jp/material/190423release.pdf

がその内容です。
日経新聞では

「解雇規制の緩和を 関経連が提言」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44098660T20C19A4LKA000/

というベタ記事で取り上げられていました。
これは、どのような意図で解雇規制緩和を提言しているのでしょうか。

提言内容を確認したいと思います。
骨子は次の3点

  • ①多様性を高める
  • ②流動性を高める
  • ③高齢者、女性、外国人材の活躍

になります。

ビジネスシーン

1)多様性を高める

企業活動における多様性は複数の局面であらわれてきています。

雇用の多様性を高める

まずは、雇用制度の多様化。
雇用の種類が追加され、雇用形態の種類が増えること。
そこから多様な雇用が展開されることになります。

優秀な人財を確保するためには、雇用形態を追加することで
人財確保の可能性を広げていく意図があります。

正社員でオフィスに定時で勤める、という内容ではなかなか
優秀な人財を確保できないという現状から多様化へと模索が
続いています。

キャリア形成の多様化

キャリアをつくっていくには経験が必要。
これを社内の経験だけに限定しない動きがあります。

社外の出向でキャリアをレベルアップしたいという希望が
出ているからです。
特に優秀スタッフほどその要望が強い。
中にはNPO法人などの団体での経験を希望する人もいます。

そのため会社としては社外のキャリア形成も認める動きに
なり、キャリア形成の多様化が図られています。

その他の多様化

他には、「高度プロフェッショナル制度」について
「労使双方のニーズをふまえた高度プロフェッショナル制度の適用拡大」
を提言しています。

「同一労働同一賃金」についても、適切・円滑に展開されることを
希望しています。

履歴書

2)流動性を高める

流動性について提言している理由は、世の中が人工知能(AI)に
対応することになると既存スタッフでは対応が難しいのではないか、
という論調です。

リカレント教育も含め、一度会社から離れて教育を受けて再度
雇用するという形態も視野に入れています。

そうなると雇用の流動性を高めるために企業の雇用保障責任の問題や
解雇法制については避けられないということ。

一定の条件下における、解雇に関する規制の緩和

http://www.kankeiren.or.jp/material/190423release.pdf

という表現で書かれてあります。
社内で教育しても難易度が高い時代が来るだろう、という予測で
社内スタッフが時代に追随できないので流動性を確保したい
ということだと解釈しました。

3)高齢者、女性、外国人材の活躍

労働力不足を補うために、高齢者の就労促進は継続しています。
高齢スタッフの多様な選択肢を準備することは経営にとって
重要なこととなっています。

この提言では、高齢者の就労のための多様な対応が可能にする
ために企業側の自由度を担保した雇用保障責任を提言しています。

一律に対応することではなく自由度を上げて対応したいという
願望が読み取れます。

女性の柔軟な働き方へ

女性の進出は進んでいるがまだ少ない。
今後は、待機児童の解消などの環境を整備することだけでなく
配偶者控除の廃止、社会保険の壁の撤廃まで提言をされています。

外国人材の受け入れ

外国人材の受け入れは人手不足の解決策として期待されて
います。

外国人材の受け入れ環境の整備、社会保障制度の見直しが
ここでは提言されています。

まとめ

こうした提言は企業の環境変化を予測して行われています。
今後、大企業がどのような選択、判断をしていくのか理解できる
内容です。

終身雇用も維持できない、制度疲労を起こしていると発言した
大企業のトップと経営の団体。
今回は、解雇規制緩和を提言する経営の団体。

大企業で構造変革が行われる前兆だと感じます。
時代が大きく変わるときには、こうした発言や提言がされる
ものです。

大きく変わっていくのだと感じます。