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~経営には優先順位がある~経営コンサルタント藤原毅芳執筆

全部いらないのに・・・セットで買うしかないのか

「これ全部いらないのに・・・」
「セットで買うしかないのか・・・」
そんなストレスを感じたことはないでしょうか。

「1個だけでいいのだけど」
「部分的だけでほしいのだが」
と感じる部分です。

そんなストレスが最近では減少しています。
なぜか?

提供する側の企業が選択肢を意図的に増やしているからです。
その点を今回は見ていきます。

まとめて提供

まとめて購入、セット購入しかできない商品がありました。
代表的なものでは
「音楽」
の購入がそうでした。

最近の人は経験がないかもしれませんが音楽はアルバムという
10曲前後をセット購入するしか選択肢がなかったのです。
レコード→CDと形は変わりましたがアルバム購入しかなかったのは
事実です。

その当時、アルバム以外の選択肢は2曲だけのシングル盤というのが
ありましたがほとんど売れてはいませんでした。

下記のデータを見るとわかりますが、シングル盤が必ずしも欲しい
曲であるとは限らないので売れなかったのです。

「2002年(iTunes登場の前年である )における C Dの販売量では 、アルバムとシングルの比率はじつに179対1だった」

『プラットフォームの経済学』(日経BP社)より抜粋
買い物

小分けで提供

音楽に限っていえば、インターネットの普及とともに
音楽を手に入れる選択肢が爆発的に増えました。

革命的だったのはApple社のiTunesです。
1曲1ドル(100円)で購入可能になったのです。

欲しい曲だけ買えるというストレスのない購買活動が
できる世界へ突入したということ。
消費者として、うれしかったという記憶があります。
そのとき、はじめてストレスがあったことを感じた人も
いるのではないでしょうか。

バンドリングとアンバンドリング

こうした商品・サービスの提供の手法には名前がつけられています。

  • バンドリング
  • アンバンドリング

という名称。
この2つを詳細に見ていきます。

バンドリングとは

「バンドリング」とは「束」にすること。
まとめて販売すること。
複数の商品を束にして売ること、です。

セット販売であったり、抱き合わせ販売、全巻セットの
ような形態で提供されています。

サービスの世界では「フルサービス」と呼ばれています。
パソコンのソフトウェアでも「フルスペック」で機能満載の
商品はバンドリングに当たります。

特徴はセット販売の方が「お得」になること。
まとめて買ったほうが1個当たりの金額が安くなることです。
マイナス点は、不要なものまで購入してしまうこと。

スマホを購入すると最初からインストールされているアプリが
ありますが1回も使っていないアプリがあるのではないでしょうか。
使っていないアプリの代金も本体価格に含まれている場合も
あるということです。

アンバンドリングとは

それに対して「アンバンドリング」は反対。
単品で販売すること、
1個単位で売ること、です。

フルサービスに対して「シングルサービス」であり、
機能満載なフルスペックに対して「単一機能」になります。

特徴は欲しいモノだけ安価に買うことができムダを排除できること。
しかし単価は安くならないこともあり割高で購入する場合も
出てくることです。

事例

ではどのような事例があるのでしょうか。
たとえば、飲食店ではコースメニューしかないお店はバンドリング。
単品で注文できる飲食店はアンバンドリングになります。

航空会社ではANAやJALのようにフルサービスしかない企業が提供
しているのはバンドリング。
格安航空会社(LCC)が提供しているのはアンバンドリング。
機内サービス有料、手荷物預け有料、とオプション扱いで選択
できるようになっています。

理容店、美容室なども同様。
フルサービスしか選べない理容店・美容室しかなかったのですが
いまでは「カットのみ」「カラーのみ」と単品サービスに絞った
お店が増えています。
これもバンドリングとアンバンドリング事例のひとつです。

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まとめ

では、企業経営でバンドリングとアンバンドリングのどちらを
選択すればいいのでしょうか。
それには簡単な方法があります。それは

  • 業界の主流の逆を考える
  • 逆の商品、サービスに顧客が反応するか試す

だけです。
他社の逆を考え試す。
それが顧客に支持されるのか、を判断していく。

ときには、時代の流れに合わずはやすぎることもあるでしょう。
そのときは先回りして待つこと。
待つことでタイミングを見計らうのです。

格言で

「人の行く裏に道あり花の山」

という言葉がありますが、バンドリングとアンバンドリングは
まさにそれが当てはまります。

経営の視点としては大切な部分。
世の中のタイミングがありますので、すぐ実践する必要はありませんが
常に頭に入れておきたい判断基準です。

【参考書籍】『プラットフォームの経済学』(日経BP社)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07C2G3366/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_faBbDbMHEE68P
プラットフォームの経済学