世界最大マシン
70の工程が一括で終わる。製造業においては画期的なことです。自動車産業でテスラが後部シャシーをつくるために世界最大ダイキャストマシンを導入しています。動画では大きさが伝わりませんが高さ5メートル以上あります。
このダイキャストマシンを導入することでロボットが300台削減できたとテスラCEOは答えています。さらに後部だけでなく前部も同じような製造過程でつくればさらに300台のロボットが削減できる計算。ボディラインだけで1000台のロボットを使っていたのが大型ダイキャストマシンにより1/3の400台までロボットを減らすことが計算上では可能になります。
テスラCEOのイーロン・マスク氏は・・・「シングルキャスティングになることで、隙間埋めやシーリングの必要がないし合金もいらなくなった。モデルYではリア部アンダーボディをキャスティングしただけで、ボディ工場のサイズを30%削減できた。実際モデルYのボディラインでは約1,000台のロボットがいたが、300台削減した。前部をボディキャスティングしたら、さらに300台減らせるだろう」
https://energy-shift.com/news/6ca5bcdb-44e2-46ff-91e3-fc9fe7695a17
他社でも導入
テスラに続き、ボルボもこの大型ダイキャストマシン導入を発表しました。メガキャスティングの採用です。1工場で導入が決まったようです。ボルボもEVには積極的に取り組んでおり、このメガキャスティング採用により工程削減、部品軽量化、コストダウンを狙っていくと思われます。
ボルボが工場に導入、テスラも採用した「メガキャスティング」とは?
https://newswitch.jp/index.php/p/30946
自動車メーカーは成熟した産業ではなくなりました。電気自動車という新しい産業へと移行しているからです。そのとき製造ノウハウは部分的に刷新されます。新しい製造方法が歴史ある自動車メーカーから出ているのではなく新興メーカーから発信されていることに注目です。企業は規模が巨大過ぎるほど慎重になり、他社に先駆けて何かをすることが減っていくのが普通です。今回も顕著にそれが出ています。新興メーカーは抱えているものが少ないので決断が可能で他社に先駆けて導入できるのです。
自動車分解調査
自動車を分解して調査するのを専門にしている会社があります。今回調べているときに出てきました。分解した情報をコンテンツとして提供もしている企業です。電気自動車の分解調査は積極的に行なっています。動画もあるので見ていきたい内容です。
ティアダウン(自動車分解調査)を得意とする企業:Munro & Associates Inc.
https://leandesign.com/
YouTube Munro Liveチャンネル:https://www.youtube.com/c/MunroLive/videos
まとめ
業界に成熟はないのかもしれません。商品が入れ替わるからです。商品の構造が進化するからです。テレビ製造はその典型でした。ブラウン管から液晶になるとき、業界が再構築されたからです。大手でも消え去りました。自動車は原動機からモーターへと移行が始まったばかり。まだ方向さえ明確ではありません。こんなときは大手企業の強みは減少していきます。新興メーカーは大手が選択しない決断をしてくるので興味深い内容です。今回取り上げた高圧ダイキャストマシンの導入も新興メーカーが最初というのは自動車業界の現在を表しているのではないでしょうか。
Giga Press:世界最大 高圧ダイキャストマシン
https://en.wikipedia.org/wiki/Giga_Press
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ビジネスリーダーのためのWeb Magazine ファースト・ジャッジ:4,789投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆