話題の新しい資本主義実現会議
スタートアップ界隈では話題になっています。2022年11月28日に開催された新しい資本主義実現会議第13回の内容についてです。スタートアップ育成5か年計画が具体的に開示されたのです。これから5年間、国がスタートアップに多大な投資をする予定が組み込まれています。その規模は現在の10倍。金額にして5年間で10兆円の投資を予定しているのです。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221128/k10013906491000.html
10倍の予算が投入されるということは単純に市場10倍になるので狙う選択肢しかない、とスタートアップ界隈の方は興奮しているのです。新しい企業が増えていくことは自由経済にとっては大切な部分。新陳代謝が発生し、結果的には社会課題が解決され、発展するためにも新規参入が増えることは前提なのです。
大企業もこのスタートアップ投資には関わってくるでしょう。最近は新規上場会社数の減少やスタートアップへの投資も冷え込んでいた状態なので明るい題材です。
新しい資本主義実現会議(第13回)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai13/gijisidai.html
スタートアップ5か年計画より
資料からいくつかピックアップします。企業の参入率、退出率が高い(創造的破壊指標が高い)ほど経済成長率が高い。またスタートアップ企業の方が付加価値創造を実現していることがデータからわかっています。日本の戦後も世の中を牽引した企業の中心メンバーは20代30代でした。そのことを現在の日本は忘れてしまっているのかもしれません。
ある自動車メーカーは新規の工場計画に対して20代メンバーだけで計画立案させたことがあります。また、大阪万博のとき太陽の塔をはじめとする建築物を担当したのも20代が中心でした。そんなエピソードも今では聞くことがありません。「20代にそんなことが任せられるのか」と感じてしまうような老化した日本になっているのを感じます。
企業の参入率・退出率の平均(創造的破壊の指標)が高い国ほど、一人当た
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai13/shiryou1.pdf
り経済成長率が高い。さらに、若い企業(スタートアップ)の方が付加価値
創造への貢献度が高い。他方、我が国の開業率は、米国 9.2%、英国 11.9%
と比べ、5.1%に留まっており、廃業率も、米国 8.5%、英国 10.5%と比べ、
3.3%となっている
スタートアップのエグジットについても海外比較が出ています。米国ではM&Aのエグジットが9割。日本はIPOが8割。比率がまったく違います。今後は日本でもM&Aの比率を高めていく方針です。大企業がスタートアップ企業のM&Aを積極的に進めることになりそうです。
スタートアップのエグジットを考えた場合、M&A と IPO の比率に着目する
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai13/shiryou1.pdf
と、米国では M&A が9割を占めるのに対し、我が国では IPO が8割であり、
圧倒的に IPO の比率が高い。M&A の比率を高めていくことが求められる。
まとめ
この計画通りにスタートアップ育成を本格的に取り組むことはプラスのできごとです。途中でフェードアウトしないよう期待するしかありません。スタートアップ企業への支援が厚くなるということは既存企業にとってもチャンスは広がります。分社化やM&Aも経営戦略として可能性が増えるからです。チャンスは見つけた人がつかみとっていきます。後追いでは可能性は低い。半歩先を歩めるようにしておきたいところです。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆