体育会系的な呼び方

体育会系は上下関係を重視する。そんな原則がありますが、そろそろ崩れそうです。サッカーワールドカップの解説者として本田圭佑氏がAbema TVに出ました。わたしも聞いていましたが、最初から「何か違う」と感じました。出場している選手の名前を呼ぶときに「三笘さん」と《さん付け》で呼んでいたからです。詳しく聞いていると全員をさん付けしているわけではなく、関係性の強い選手は呼び捨てでした。しかし、年下の選手に対して「堂安さんは・・・」と解説している現象はメディアでは初なのではないでしょうか。

呼び方3種類

名前を呼ぶときには大きく次の3つに分かれます。

  • さん付け
  • 君付け
  • 呼び捨て

これを器用に使い分けしていることが多いのではないでしょうか。特に勤めている会社、部署は個人のプロファイルを詳細に知っているので、使い分けができるようです。年上はさん付け、年下は君付けにしている人や入社年度によって使い分けしている人もいます。

ただ、毎回考えながら呼ばなければならないので大変だと感じるのはわたしだけでしょうか。個人的には、クライアントさんのスタッフの方が多く、プロファイルを完璧に覚えているわけではないので、年齢に関係なくすべての方を「さん付け」で呼んでいます。さん付けにして10年以上経っていますが問題になったことはありません。

リーダーになればなるほど

名前の呼び方はその人との関係性や距離感をまわりの人に感じさせます。そのため、リーダーになればなるほど、どの人に対しても同じような距離感で接した方がベターだと考えています。親しい人だけ呼び捨てにすると自然発生的に派閥が形成されてしまいます。そのつもりがなくても、距離感を感じる人は遠くに位置するからです。

あるリーダーにそのことを質問したことがあります。「どうして、呼び捨てにしているのですか」と聞いたところ「別に意味はありません・・・前からそう呼んでいたので」と答えていました。しかし、呼び捨ての人とさん付けの人を区別している事実は否定できません。実際に派閥が形成されており、親しいチームとそうでないチームに二分されていたからです。無意識のうちに社内を分断していたことになります。

まとめ

就業時間中はある程度、差を設けず、区別せず、接した方がいいのではないでしょうか。そう考えます。リーダーもその方がストレスが減るでしょう。また、スタッフから見ても区別がない方が安心できると思います。

組織においては「心理的安全性」が求められていると2021年ごろから話題になりました。組織が安心できる場所なのかが問われたのです。細かい話にはなりますが、名前の呼び方ひとつで心理的安全性は崩壊します。分断する行為は安心が担保されないからです。リーダーの発言はこうした細かい部分にも配慮したいところです。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆