1980年ごろのこと

1980年ごろのことです。米国は悪性のインフレに悩まされていました。そのときのインフレ率は実に14%。『暴走インフレ』と呼ばれていたのです。このインフレを抑え込んだのがPaul Volcker氏(ポール・ボルカー氏)。当時FRB議長でした。暴走インフレ対策として金利を上昇させました。前例のないレベルの金利20%まで上げたのです(ボルカーショック)。その後、失業率は10%まで上がってしまいました(産業稼働率は60%まで低下)。この決断には避難が続きましたが、最終的にはインフレは沈静化。3年後にはインフレ率3%まで下がったのです。
https://www.marketwatch.com/story/as-fed-chairman-paul-volcker-made-everyone-mad-2019-12-09

(wikipedia)
ポール・アドルフ・ボルカー・ジュニア(英語: Paul Adolph Volcker、Jr.、1927年9月5日 – 2019年12月8日)

1979年、カーター政権下で連邦準備制度理事会(FRB)議長に選任され、1983年に続くレーガン政権下でも再任された。
1987年8月、後任のアラン・グリーンスパンにFRB議長職を継承。退任後も財務省ポスト、大企業の社外取締役などを歴任し、精力的に活動を続ける。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%BC

米国の現在

米国のインフレ率は7.1%(2022年11月)になっています。ただ、変動が激しい品目は取り除かれた後の数値なので実態を100%表現しているとは思えません。昨年と同じ品目で比較すればインフレ率はさらに高い数値になるからです。数値をそのまま信じられないことと、全体を把握することに限界があるのを感じます。

ボルカーに学べ

日銀はボルカー時代を研究すべき、と記事が出ています(Forbes誌)。「日銀黒田総裁の後任は日本の金利を最大5%に上げるでしょう」と予想しています。それが適正だという意見です。悪性インフレ、粘着性インフレの様相になれば現実味があります。もともと日銀の予想では円安傾向の為替が落ち着けば2023年にはインフレ率は下がるだろうと言っていました。その結果次第だと思います。

Bank Of Japan Should Study Paul Volcker Era(日銀はポール・ボルカー時代を研究すべき)

https://www.forbes.com/sites/williampesek/2023/01/05/bank-of-japan-should-study-paul-volcker-era/

まとめ

今から40年以上前のことを経験している現役はほとんどいません。なので暴走インフレなんて想像もできないでしょう。知っていても未経験の過去のこと。歴史上のエピソードにしか感じないものです。ただ、経験している方、リアルタイムで見ていた人は暴走インフレの可能性を否定しません。実際に経験したからです。この温度差が気になります。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という名言がありますが、今後は経験だけで判断できない状況が続きそうです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆