きちんと生き残った企業は
日経新聞に私の履歴書という連載があります。過去のことなので読んでいても波乱万丈なストーリーではないので少々つまらないと感じる人もいるのかもしれません。しかし当時の現場のことが記された貴重な内容でもあります。単なる成功ストーリーではなく失敗ストーリーも出てくるので参考になるところは多い。今回は野村證券のことが書かれてありました。キープヤングのことです。キープヤングだった企業はきちんと生き残っていると断言されています。ではキープヤングとは何なのでしょうか。
私が入った頃の野村証券は第一線で若手社員が多かったばかりか、40歳代そこそこの取締役が誕生することもあった・・・そんな野村の人事政策は「キープヤング」と呼ばれ、日本企業としては先駆的と言われた。しかし、ふり返ると、今もきちんと残っている日本企業の多くは「キープヤング」だったのだ(古賀信行 私の履歴書12 引受部二課:日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK242Q70U2A221C2000000/
キープヤングとは
キープヤングとは野村グループが提唱している「若い人が会社を支える精神」です。会社は規模が大きくなると若手が遠慮するようになります。上からも「まだ早い」と言われて機会を与えられないこともあるのです。その場合、若手スタッフは会社との距離が遠くなり、自分が会社を支えているという考えから遠ざかります。当事者意識がなくなってしまうのです。この課題を解決するために提唱されたと思われるのがこのキープヤング。若手でも登用されるチャンスがあり、若手でも会社を支えているのだという考えを持ってもらうための施策でもあります。
キープヤングとは
https://business.nikkei.com/article/NBD/20130819/252374/
野村グループが続けてきた、若い人材が会社を支えるという「キープヤング」の精神
実年齢ではない
転換期におけるキープヤングを個人的な解釈で考えてみると、実年齢の若いスタッフをリーダーに登用することだけがキープヤングではありません。ヤングという定義を次のように考えれば実年齢に問わずヤング精神を持った人を集めることができると考えています。
- フットワークが軽い
- 新しいことを試す
- 新ツール、新技術について興味があり、すぐに試す
- 過去の成功体験にとらわれていない(自慢しない)
- マウントしない
といった感じでしょうか。この項目に当てはまる人はヤングとみなし、キープヤングのメンバーとして登用できると思います。逆に実年齢が若くてもこの項目に当てはまらない人はヤングではないといえるでしょう。結局のところ実年齢は関係ないということです。
まとめ
成功体験がその人の考え方を固定化するときがあります。このまま同じことをしていれば成功し続けるという幻想を持つことです。その幻想に取りつかれると、偏った決断をし始めます。自分の思い通りに進めようとして無理が生じます。その先には過去の成功を覆してしまうような失敗と引き起こすこともあるのです。そのためにもキープヤングを別の定義で言い換えると「ヤング精神が会社の継続を支える」となるでしょう。役職者の上から順番にこの精神が宿っているのか確認したいところです。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆