GPIFとは

GPIF年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)は「厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用」を行なっている独立行政法人。年金を積み立てている人にとっては関係がある法人です。直接関わることはほとんどないと思いますが、積み立てた厚生年金と国民年金が運用されることで将来の年金額が左右されるので関心を持っておきたい法人です。

運用損益結果


2022年10月から12月の運用損益結果が公開されています。クオーターの結果は1.8兆円の赤字。2022年1月から4四半期連続赤字となっています。4四半期の連続赤字は20年ぶりだそうです。原因は世界的な金利上昇による債券価格の下落。GPIFが保有している債券が値下がりしたのです。そのため評価損が出ています。1.8兆円の赤字は大きいようにも感じますが、運用額189兆円なのでマイナス0.97%となります。

2022年10月から12月の運用損益結果
外国債券▲2.6兆円
国内債券▲0.8兆円
外国株式0.09兆円黒字
国内株式1.5兆円黒字

資産別の運用損益額は、外国債券が2兆6651億円の赤字、国内債券が8475億円の赤字、外国株式が926億円の黒字、国内株式が1兆5670億円の黒字

GPIF、22年10~12月の赤字1.8兆円:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68193670T00C23A2EA4000/

ポートフォリオ

GPIFのポートフォリオの推移をまとめてみました。国内債券の割合が減少し続け、他はすべて割合が増加しているのがわかります。現在は1/4ずつ均等な割合になっていますが、「年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定した結果」、債券と株式が均等になったようです。

資産構成割合2006~2013年6月2013年6月~2014年10月2014年10月~2019年度2020年4月〜
外国債券8%11%15%25%
国内債券67%60%35%25%
外国株式9%12%25%25%
国内株式11%12%25%25%
短期資産5%5%
https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.htmlから作成

英国では

2022年9月に英国では年金基金が破綻の危機になり急遽英国債を中央銀行が買い入れるオペレーションを行いました。要因は国債の金利急上昇によるものでした。金利急騰によって年金基金が運用している国債の評価が下がり追加担保が必要になったのです。もし追加担保が増えていけば、資金捻出のために年金基金が持っている債券、株式という金融商品を売却する可能性が出ていたのです。年金基金が債券、株式を大量に売却すれば市場は暴落してしまいます。そのために英国中央銀行が年金基金の破綻を防ぐために英国債購入の決断を下したのです。この後、失策の責任をとる形で当時の首相(トラス元首相)が辞任。在任期間45日という短さでした。

まとめ

各国の年金基金は運用額も大きく、また影響力もあるのでその動きには注目しなければなりません。日本の年金基金GPIFの今後も定期的に観測していきたいと思います。

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