下方修正の増加
上場会社が業績見通しの修正をするとき、先行き見通しが推測しづらい時期に来ているのを実感します。製造業の業績見通しについて下方修正の企業割合が増えているときは特に予測できない状況だと感じるのです。
上場企業は計画通りに業績を出すことが求められています。それを修正するとなると次の3タイプに分けられます。
- 上方修正
- 計画通り
- 下方修正
の3タイプです。①上方修正は良いことのように感じられますが、計画の見込みが甘かった、精度が低かったと評価されることもあるので厳しい世界です。②計画通りの結果で普通であり、大きな評価はありません。ただ成長計画を達成している場合は大きな評価になります。③下方修正は見込みの精度が甘かったと評価されるでしょう。もしくは、将来予測ができていなかったと評されるかもしれません。
その計画修正がある一定以上の割合で出現するときは企業の責任ではなく、予想できない状況があらわれている可能性があります。2023年3月期の通期の見通しが各社発表していますが製造業においては27%が下方修正をしています。1/4の製造業が下方修正となり、2月時点で下方修正が20%以上になったのは東日本大震災時以来の11年ぶり。
製造業27%が最終損益を下方修正 3月期、景気減速や円高
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC304SV0Q3A130C2000000/
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とはいっても、製造業の中に上方修正をしている企業も12%あります。全体の大枠を見れば
・1:6:3
となっています。上方修正1:計画通り6:下方修正3 という形です。これをどのようにとらえるのかは人それぞれだと思います。大したことはないという楽観論の方もいると思いますし、炭鉱のカナリア現象だと判断する人もいます。間違いがないのは「悲観的にとらえる」ことです。行動をいきなり悲観的にすることはないですが、「・・・なるかもしれない」ということだけは頭の片隅に置いておきましょう。
炭鉱のカナリアは、何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆
https://www.ifinance.ne.jp/glossary/souba/sou339.html
まとめ
2022年10月ぐらいから製造業は低調だったと発言している人もいるので現場の感覚は下方修正を納得しているのではないでしょうか。上場会社は2023年4月からの予算を組んでいますが、2023年3月の業績次第では予算変更も行われると思います。光熱費の値上がりを実感する冬の時期は消費が伸びず冬眠状態の人も増えているので、春以降の動きに期待が大きくなると感じます。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆