不確実性

内閣府の日本経済をまとめた資料が公開されています(ミニ経済白書)。冒頭で世界経済の不確実性から記述されています。2023年の後半から年末に大きな動きがあると予想しています。

日本経済2022-2023
物価上昇下の本格的な回復に向けて (令和5年2月)内閣府政策統括官(経済財政分析担当)
第1章 世界経済の不確実性の高まりと日本経済の動向
第2章 個人消費の力強い回復に向けた課題
第3章 企業部門の動向と海外で稼ぐ力

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2022/0203nk/keizai2022-2023pdf.html

説明資料も公開されておりスライド資料なので、こちらの方が概略がつかみやすいです。気になったところは下記の図です。所得階層別の消費支出推移がグラフ化されています。右側のグラフがもっともわかりやすいですが、所得が高い世帯は消費が戻っていますが、所得が低い世帯は下がり続けています。この傾向は今後も続きます。

所得階層別にみた消費性向と消費支出


生活に直結する製品の値上がりが続き、消費マインドが下がり続けているからです。ガソリンの高騰にはじまり、食品の値上がりが続き、光熱費の値上がりが最後の追い打ちをかけています。今後も所得が低い世帯の消費支出は下がっていくでしょう。この冬の光熱費に関してはヒアリングを重ねていますが、雪国エリアは電気代が5万円〜15万円という家庭ばかりでインパクトの大きさを感じています。そうなると部分的に消費マインドが戻らない、盛り上がらないことも想定しています。所得階層のちがいだけでなく、エリアのちがいも大きくなるのではないでしょうか。

日本は価格転嫁が進みにくい

日本の構造についても記述があります。生産フローが川上から川下に流れていくとき、価格上昇率が低くなっていく。ようするに、価格転嫁が川下に行くほどしづらい。想像すればわかりやすいですが、たとえば食品の値上げは途端に売れ行きがわるくなるケースがあるのです。そうなると消費者に近い川下に行けば行くほど価格上昇がゆるやかになっているのです。ほとんど値上げできない状態が発生することもあり、日本の方が価格上昇に対してシビアだと感じます。

需要段階別の物価上昇率の日米比較

『生産フローが川上から川下へ流れる中で、大きく物価上昇率を低下させ、価格転嫁が進みにくい構造』

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2022/0203nk/22youyaku.pdf

まとめ

このような資料はどれも同じようなことが書いてありますが複数の資料を読み込むことに意味があると思っています。書いてある内容は似ててもニュアンスがちがったり、表現にちがいがあるからです。また、データの読み解き方もちがいが出てくるので自分の視点を増やすことにも有効。今回も川下に行くほど価格転嫁が進まないことがデータで示されており納得でした。インフレが続く場合、川下に位置するビジネスは要注意です。価格転嫁のタイミングが遅かったり、価格転嫁できる率が低いことを前提にビジネスを構築しなければならないのです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆