民間委託のプラスマイナス

自治体が民間に委託する領域は増えています。自治体の施設の運営を民間に委託する話は耳にするようになりました。「あの施設は・・・会社が運営している(委託されている)」という話が耳に入ってくるからです。自治体が民間委託する理由は、
・自治体のスリム化が可能になる
・専門家に任すことができる
といったメリットがあるからです。しかし、成功事例ばかりではありません。民間委託したが
・成果が出ない
・かえってサービスがわるくなった
といったことも発生しているのです。民間委託はさほど収益が出る内容ではないので、そこに委託された企業が収益を求めるとコスト削減ばかりして結局のところ失敗してしまうことがあるのです。たとえばある図書館では小学校へ訪問し読み聞かせをしていましたが民間委託後にコスト削減が理由で読み聞かせが中止されたこともあるようです。

民間委託がPFSに

そんな民間委託にPFS方式が導入され始めています。成果連動型民間委託契約方式です。ペイ・フォー・サクセスの略がPFSになります。通常のビジネスでは当たり前のことですが、成果を求めていなかったことで問題が発生していた民間委託業務。これが健全化へと方向転換されたのです。委託業務に対して、
・成果指標を設定
・支払額を成果指標値の改善状況に連動
させていく内容です。https://www8.cao.go.jp/pfs/pamphlet.pdf
今まで成果を問われていなかったことに驚く人もいるのではないでしょうか。健全化の流れだと感じます。

PFS(成果連動型民間委託契約方式 Pay For Success)とは
行政課題の解決に対応した成果指標を設定し、成果指標値の改善状況に連動して委託費等を支払うことにより、より高い成果の創出に向けたインセンティブを民間事業者に強く働かせることが可能となる、新たな官民連携の手法

(成果連動型民間委託契約方式 PFS:Pay For Success ポータルサイトより)

https://www8.cao.go.jp/pfs/index.html

まとめ

業務を委託するのは企業ではアウトソーシングと呼んでいます。委託するには成果を求めますし、毎年監査に行くことも普通です。求めている内容が実施されているのか、品質が下がっていないのかを毎年確認に行っています。自治体の民間委託はそこまで求めていなかったわけですが、さすがに結果が出ない割合が増えているのでしょう。PFS方式は透明性、健全化の流れとして広がっていくと思います。品質の高い内容を提供し、報酬を得るという原則は変えられません。その原則から外れている場合は原則へと収斂(しゅうれん)されていく流れになっていくだけです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆