SVBが急に
シリコンバレーバンクSVBが経営破綻。話題になっていますが、正確に事実をつかんでいきたいと思います。この経営破綻したシリコンバレーバンクの規模ですが、総資産2000億ドル(27兆円)規模の銀行です。この規模の銀行は日本だとどの銀行と同じ規模なのでしょうか。
米シリコンバレー銀行が経営破綻 リーマン危機後で最大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10DL50Q3A310C2000000/
規模はふくおかFGと同程度
日本の銀行だと「ふくおかフィナンシャルグループ」(総資産29兆円)と同じ規模になります。日本の銀行総資産ランキングでは、このふくおかファイナンシャルグループは第7位になります。都市銀行を除く地方銀行ではトップの総資産になります。ということは、今回のシリコンバレーバンクは日本の地方銀行トップが経営破綻したのと同じ規模になります。ただ、米国は経済規模も金融機関数も違います。金融機関の数は日本の7倍近くあり、人口比率から考えても米国の金融機関の数が多いのです。。そのため単なる比較はできませんが、破綻したシリコンバレー銀行の規模は実感できると思います。
日本の金融機関数:1,429
https://www.nikkin.co.jp/link/number.html
米国の金融機関数:9,624
https://www.yu-cho-f.jp/wp-content/uploads/America-1.pdf
1日で20%が引き出された
今回の経営破綻に至った経緯としては、1日で420億ドル(5.5兆円)が引き出されてしまったのが原因です。総資産の約20%が引き出されてしまいました。そのためキャッシュが不足。他の資産を売却し、増資を募りましたが額が不足してしまったのです。とても不足分を充足できる金額が集まらなかったのでしょう。一気に経営破綻という決断をしたと思われます。
預金している人への保護は25万ドル。3300万円程度です。企業の場合、このシリコンバレー銀行の破綻が原因で資金ショートするところも出てきそうです。
ウェルズ・ファーゴ銀行
シリコンバレー銀行以外にも話題になっているのが米国ウェルズ・ファーゴ銀行です。2022年12月に「ウェルズは住宅ローンや自動車ローンで不正に手数料を徴収したり、担保の自動車などを不正に差し押さえたりする慣行があった」ため制裁金を科せられています。そのウェルズ・ファーゴ銀行で「口座に給与が反映されていない」という噂が出ており、週明けには銀行窓口に人が殺到するのではないでしょうか。
米国ウェルズ・ファーゴ銀行
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20DIP0Q2A221C2000000/
不正巡り制裁金4800億円 顧客補償も
まとめ
今回のシリコンバレー銀行の経営破綻が大きく全体に波及することはないでしょう。しかし、この経営破綻がきっかけで噂が広まり、他の銀行にも影響が出るかもしれません。不安の噂はすぐに連鎖し、取り付け騒ぎになるからです。銀行に対する信用不安から預金引き出そうと窓口に人が殺到する現象です。単なる噂から取り付け騒ぎになることもありますし、日本でも過去に発生しています。
・佐賀銀行:2003年
佐賀銀行の場合は「倒産する」というデマチェーンメールが発端で取り付け騒ぎが発生しました。デマによって500億円が引き出されてしまったのです。
そう考えると、経済は「信用」をベースに成立しています。その信用が不安になった瞬間に成立していた構造が崩壊していきます。崩れるときは一気に崩壊するので注意が必要です。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆