なぜ金利を上げる選択をするのか

FRBが0.25%の金利上昇を決定しました。金利が上昇したことで、シリコンバレー銀行などが経営破綻していますが、それを無視するかのごとく、金利上昇が決定したのです。シリコンバレー銀行の経営はひどかった、と切り捨てた表現がなされています。しかし現在、米国では経営破綻予備軍の銀行は100を超えており200近くになろうとしています。なぜ銀行の経営にとってはマイナスなことを決断したのでしょうか。

金利を上昇させる理由はインフレを抑えるためです。ということは、インフレがなかなか収まらず、銀行の経営破綻と比較してインフレ沈静化を選択したのです。ここのポイントかなり注目です。米国のインフレは沈静化していないのです。今回のインフレは当初から予想していなかったといわれています。そのため対応が後手になっており金利上昇を継続をしなければならないのです。その途中で銀行が経営破綻するのは、ある程度仕方がないと考えているのでしょう。

不安の連鎖

不安の連鎖を防ぐために、米国では経営破綻をした銀行の預金を全額保護するような発言をしていますが、銀行が連鎖的に破綻した場合は、全額保護することは不可能です。無限にはできません。あくまでも不安の連鎖を防ぐための発言だと感じます。

債券の含み損

今回のシリコンバレー銀行破綻は債券の損失から始まりました。含み損が出て財務状況が悪化し、預金が一斉に引き出され破綻してしまいました。スピード破綻したことが特徴です。ちなみに米国金融機関全体の債券含み損は2022年末で6200億ドル(80兆円)。今はそれよりさらに含み損が拡大しています。今後も同じようなことが発生しないとはかぎりません。

米銀債券含み損80兆円

FRB、物価と金融不安抑制に苦慮 :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN230VA0T20C23A3000000/

まとめ

「前門の虎、後門の狼」という表現があります。困難を乗り越えてもまた危機が訪れることの意味で用いられます。現在の米国金融業界は困難の連続になっており、出火を鎮火させても次の出火が発生してしまうかもしれない状況です。これは米国だけに限った話ではなくクレディスイス銀行、ドイツ銀行の名もあがっています。かなり強引な手法で解決させたクレディスイス銀行についても焦っていた状況が読み取れます。余裕がないところで解決させているのでしょう。時間の余裕もなく、資金の余裕もない状態で鎮火させることが続くと最後にどこかは間に合わなくなります。そうなってほしくはありませんが状況としては劣勢です。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆