DDとは
最近、DD(デューデリジェンス)について問い合わせがあります。企業のM&Aが増えているからです。M&Aは手離す企業がなければ成立しないので、経営権をリリースする企業が増加しているのです。ではM&Aのとき、デューデリジェンスは具体的に何をするのでしょうか。
デューデリジェンス(Due diligence)とは、企業買収、投資、提携、契約の取引の前に、取引相手について徹底的に調査・分析し、リスクを評価するプロセスのことを指します。
デューデリの種類
デューデリジェンスには種類があります。下記のの内容が主な種類になります。事前に分析評価するのは限界がありますが、リスクを減らすためには徹底的に行いたいポイントです。
- 財務デューデリジェンス:対象企業の財務状況、財務報告、資産・負債、現金流、税務履歴などを調査・分析
- 法律デューデリジェンス:対象企業の法的な問題や契約、訴訟、知的財産、従業員関係、規制遵守状況などを調査・分析
- 営業デューデリジェンス:対象企業の市場ポジション、競合状況、顧客関係、サプライチェーン、戦略・計画などを調査・分析
- 技術デューデリジェンス:対象企業の技術基盤、研究開発能力、技術ライセンス、特許・知的財産戦略などを調査・分析
- 環境・社会デューデリジェンス:対象企業の環境配慮、社会貢献、労働環境、コーポレートガバナンスなどの調査・分析
事例から
2023年4月に大型な民事再生が発生しました。ユニゾホールディングス株式会社です。金融関係の債権者45行が公開されています。債権額とあわせて見ておくと傾向がわかります。
4月26日に東京地裁に民事再生法の適用を申請したユニゾホールディングス(株)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197620_1527.html
ユニゾHDの金融関係の債権額は以下の通り(単位:千円、確定債権とは異なる、2023年4月26日現在、社債除く)。金融関係の債権者は45行(社)で債権額は649億。これとは別に総額610億円の社債がデフォルト状態
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197620_1527.html
・城ヶ島合同会社 54億円
・アビリオ債権回収(株) 50億円
・神奈川県信用農業(協組連) 47億円
・北國銀行 45億円
・西日本シティ銀行 39億円
・東日本銀行 37億円
・大阪府信用農業(協組連) 27億円
・大垣共立銀行 26億円
・武蔵野銀行 26億円
・兵庫県信用農業(協組連) 26億円
・みちのく銀行 25億円
・きらぼし銀行 24億円
・北海道信用農業(協組連) 23億円
・東邦銀行 22億円
・山口銀行 18億円
・三十三銀行 17億円
・高知銀行 13億円
・山陰合同銀行 13億円
・岩手県信用農業(協組連) 10億円
・鹿児島県信用農業(協組連) 9億円
・静岡中央銀行 9億円
・徳島大正銀行 9億円
・筑波銀行 9億円
・イオン銀行 8億円
・十六銀行 5億円
・但馬銀行 5億円
・第四北越銀行 5億円
・合同会社サポート38号 5億円
・山梨中央銀行 5億円
・栃木銀行 5億円
・京葉銀行 5億円
・北日本銀行 4億円
・みなと銀行 3億円
・東京都信用農業(協組連) 3億円
・筑邦銀行 2億円
・静岡銀行 1億円
・広島銀行 0.9億円
・愛知銀行 0.7億円
・中京銀行 0.7億円
・八十二銀行 0.7億円
・肥後銀行 0.7億円
・山形銀行 0.5億円
・紀陽銀行 0.3億円
・名古屋銀行 0.3億円
・佐賀銀行 0.1億円
傾向は
債権者である金融機関を見ると分かりますが地方銀行が約半数です。都市銀行系はほとんどありません(2番目のアビリオ債権回収株式会社はSMBC系です)。他にも、「信用農業協同組合連合会」が複数あるのが目立ちます。こうした金融機関でもDD(デューデリ)は行っているはずです。しかし、DDにかける工数の差はあると思います。時間と費用をかけてDDを行うところと、他行の動きを見て判断するところと分かれたのではないでしょうか。
まとめ
経営は自己責任なので他の企業の判断を基準に決断しても責任は自分にあります。DDに関しては制約がある中で判断しなければならないと思います。これこそ経営者の力量を試される場面だと感じます。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆