新しい評価制度を導入するとき

新しい評価制度を導入したり、評価制度を改変する機会は少なく、数年に1度あるかないか。中には、そのままで10年経つ企業も少なくないでしょう。そのため、準備不足や経験不足が原因で、導入時や改変時に誤解が生じるケースがあるのです。現場の空気感を読み取らず、強引に進めてしまうケースも見てきました。このような失敗を防ぐためにできることは何でしょうか。その点を考えてみたいと思います。

導入プロセス

新しい評価制度を導入するときは、導入説明を複数回に分けて行うほうが誤解が生じません。部署ごとにまずは導入意図、導入スケジュールを説明します。それが終わったら、同じ内容で企業のトップが全体発信をします。それでもまだ納得がいかない人もいるのが普通です。そのために再度質問を受け付ける場を設定します。最低3回は説明したほうが納得度が上がり導入がスムーズになります。ここを省いて進めると導入後に問題が発生することがあり、導入以前が大切だと感じます。丁寧に進めたい部分です。

評価制度の側面

評価制度は給与を決めるためにあります。しかし、それが主ではありません。なぜなら、評価制度を導入することで人が成長するからです。成長のための指標ともいえるのです。その点を伝えていない企業もあり、機会損失のように感じます。

人は指標があるほうが成長に向けて進みやすい。自分の成長を感じられますし、上がっていく喜びを感じます。数値化された段階を見れば自分の成長を実感しやすくなるのです。リーダーから褒められると嬉しいですが一瞬で終わります。それが評価制度の場合、褒められたことが次の評価時期まで続くので安心感があるのです。

偏りの是正

評価制度を新しくしたとき、評価に偏りが出ることがあります。これはどのように是正すればいいのでしょうか。

たとえば、評価する一次評価者が複数のスタッフを評価したのですが、ほとんど差がつかないケースです。この現象は常に発生することもあり、悩ましい問題です。こんなときは次のような是正が可能です。

  • マルチレベル評価(360度評価)→複数の評価者を取り入れる
  • 客観的指標を明確化→評価の基準となる指標を明文化する
  • バイアスの認識→評価時に陥りやすいバイアスを知っておく

上記のようなことをしながら評価の偏りを無くします。完璧にはできなくても、偏りは少しでも減らしたほうがいい。取り入れてください。

まとめ

評価制度は組織の中でも敏感に反応が出る事項なので、慎重にスタートしたいところです。スタート時の失敗は挽回できないケースもあり、長期間にわたって遺恨を残すことになります。そんなことにならないよう、計画を綿密に立ててからスタートしてください。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆