急に変更か

企業の方針は急に変わることがあります。逆転することも別に珍しいことではありません。上場企業であれば公開されている情報を定点観測するとそれが見えてきます。今回取り上げるのは高級家電メーカーのバルミューダです。扇風機でヒットし、高級トースターも人気になっているメーカーです。このメーカーが2021年11月「BALMUDA Phone」を発売。スマホに参入したのです。しかし、結局のところスマホ事業撤退を発表しました。第一弾が発売された直後に第二弾を計画し、2022年8月には設計まで終わっていたと発表もしていました。しかし、製造できず、第二弾スマホは消滅。スマホ事業そのものを撤退したのです。トップは事業継続を望んでいたと思いますが苦渋の決断だったと感じています。

バルミューダ、スマホ撤退 販売伸びず開発断念:日本経済新聞 2023/05/12

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC126L20S3A510C2000000/

買いたいという領域に未達

バルミューダのスマホは発表時に注目していました。こだわりのメーカーなので、どの程度のスマホを出してくるのか関心があったからです。しかし、出てきたスマホはさほど話題にならなかったと感じています。購入したいという領域に未達だったのです。

こうした販売不振から事業撤退のとき、企業内では将来性に議論がされるはずです。どのようなポイントで議論されたのかを推測してみます。

  • 第一弾スマホのパフォーマンス分析:売上、利益、シェア、成長性
  • 市場分析:スマホ市場の分析、競合他社の動向、市場の成長性、技術進歩
  • 事業戦略の評価と再構築:スマホ事業の戦略を評価することで今後の戦略を再構築。第二弾の新製品の開発、マーケティング戦略変更
  • 撤退時の影響:スマホ事業の撤退による会社への影響、ブランドイメージ、スタッフのモラル・モチベーションなどの影響
  • 財務評価:撤退するときのコスト、事業を存続する場合の予想収益
  • リスク評価:存続の場合のリスク、撤退のときのリスクを評価

上記のような視点でミーティングされたことでしょう。そのうえで最終決定がなされたと思います。

OEM先も撤退

バルミューダのスマホはOEMで製造されていました。委託先の京セラがエンドユーザー向けのスマホから撤退を発表。連動した動きだと感じます。

京セラ、消費者向けスマホから撤退へ 法人向けに集中:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1594D0V10C23A5000000/

まとめ

事業撤退は普通に発生する事象です。数多くチャレンジする企業ほど事業撤退も多くなります。Amazonがスマホから撤退したのは似たような事例になります。Amazonのスマホは米国で失敗したので日本では発売されませんでした。しかし、Amazonのタブレットは現在でも継続しています。スマホとタブレットでは似ているようで似てないのかもしれません。ビジネスの新製品開発については、ヒットの確率(%)を競うルールではなく、ヒット数(総数)で評価されると考えています。確率が低ければ数多く出しながらヒット総数を増やすことだといつも思います。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆