積極導入の拡大
大手企業におけるAIチャットボット、ChatGPTの活用事例がメディアの注目を集めるようになりました。その当初、取り上げられていたのは主にIT企業やソフトウェア開発企業、デジタル関連の企業ばかりだったのですが、最近ではその範囲が格段に広がり、金融業界のメガバンクや大手損害保険会社なども含まれるようになりました。また、製造業などのメーカー系企業も積極的にChatGPTを利用するようになり、新技術への積極的な取り組みが見受けられます。
大手は
大手企業の特徴として、新しいテクノロジーに対して前向きである点が挙げられます。たとえ全社規模の導入が必要であろうとも、その新技術を試すだけの余裕があるので可能なのです。。背景には、遅れを取ることのデメリットを考慮しているのかもしれません。また、新技術の導入により先行者利益を得ることも可能であるという経験則から、新しいものにチャレンジする姿勢が見受けられます。
大企業以外は
一方で、中小企業は大手企業とは対照的に、まだ慎重な様子を見せています。新技術の導入に伴うコストを慎重に計算し、リスクを冒して失敗することを恐れているようです。もし新技術の導入が結果として価値を生まなかった場合、それはコストだけがかかった損失と感じるでしょう。確かに、最先端のツールの多くは、その実用化まで至らないものも少なくありません。過去には、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が話題になりましたが、今ではその話題自体もほとんど聞かれなくなりました。
トップが判断できること
そういった現状を鑑みると、企業が新技術をどのように扱うべきかという問いには一概に答えることが難易度が高い。大手企業のようにある程度の余裕があるわけでもなく、先行投資にも限界がある中小企業がどう動くべきかは難問です。こうしたときに重要なのは、企業のトップが自ら新技術を理解し、それを試すことでしょう。可能性を感じたら、それに見合う人材を探し、試させる。そして、その結果について、適切に判断できる人がいることが大切です。
導入時の選択肢
導入するときの選択肢は次の内容になります。
①全社規模で導入すべきか
②部分的に導入するか
③導入をもう少し先に延ばすべきか
④あるいは導入そのものを見送るべきか
このような重大な決断を下すことができる人材が組織のトップ層に何人いるかは、企業の将来を大きく左右するかもしれません。それゆえ、経営トップ層が自ら新技術に対する理解を深め、情報を収集し、そして正確な判断を下すための能力を磨くことが、企業にとっての成功へのカギとなると感じます。
まとめ
はやくに導入しても先行者利益がない場合もあるのではないか。そう質問されたこともあります。たしかにそうでしょう。メリットばかりではありません。しかし、先に触っている企業ほど余裕ができるだけです。慌てて判断する必要がない。急いで決断することもないのです。判断や決断は余裕がある人が勝ちます。判断の正確性が高くなるだけです。常に余裕が取れる位置にいることが優先です。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆