マンションは高騰

東京エリアでは、マンション価格の上昇が続いています。新築マンションの平均価格がいくらになった、最高記録を更新したというニュースが度々報道されており、これに目を通した方も少なくないでしょう。これは、都心部の土地が限られている一方で、都市部への人口集中が続いており、需要と供給のバランスが崩れ、価格が上昇するという経済の基本的な原則が働いていると考えられます。そのほかにお金余り現象が不動産へ向かったという解釈も成り立つでしょう。

しかし、一方で新築の一戸建て住宅業界は若干の苦境となっています。先日公表された5月のデータによると、大手住宅メーカー(ハウスメーカー)の受注が対前年同月比でほぼ全社がマイナス(12社中11社が減少、そのうち9社は2桁減)となっています。この減少の背景には、過去2年間で建築材料の価格が上昇していること、その結果、ハウスメーカーの価格が上昇したままであること、そして新築予算を考えた際にハウスメーカーを利用すると一戸建てではなく、平屋になるケースが増えていることなどが挙げられます。

平屋が増えると

実際に地方でも、ハウスメーカーが平屋を建築する現場が増えているのを目にする機会が増えました。このような状況から、平屋の建築が増え、結果として受注が減少するという流れは予想通り。もともとハウスメーカーは平屋にすると魅力が半減します。メリットを活かせない状況になっていると感じます。

一方、建売の一戸建て住宅は好調でした。その理由の一つとして、テレワークが増加し、それに伴い自宅での作業スペースが必要となったため、床面積が広い家を選ぶ人が増えたという現象があります。ただ、現在は建売業界も調整局面に入っています。在庫が増えているからです。テレワークブームの恩恵を受けていたのは過去形となりつつあります。

まとめ

今後の予測を考えてみると、ハウスメーカーが安価な製品を投入しない限り、受注の減少は続くと思われます。しかし、高品質志向のハウスメーカーが安価な製品を提供するのを選択しない場合、耐える道を選ぶ可能性もあります。安価な製品を投入しても、それが大量に売れるとは限らないのが現実です。

またハウスメーカーは規模が大きいため、規模を維持するためには、安価な製品を投入した場合でも一定の受注数が必要となります。どの道を選ぶにせよ、経営判断は厳しいものとなることでしょう。

「5月ハウスメーカー受注、12社中11社が減少 9社2ケタ減 | 新建ハウジング」

https://www.s-housing.jp/archives/316222

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆