突然の格下げ

突如として行われた米国債の格下げは、世界経済にちょっとした衝撃を与えました。格付け会社フィッチ・レーティングスによって発表されたこの格下げは、米国経済の先行きに対する不安を増大させ、今後9月に影響が出てくるでしょう。いきなりの幕開けが発生したような気分になります。

楽観論にストップがかかる

これまで最上位であった「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引き下げられた米国債の格付けは、米国の財政不安が証明された形となりました。外部評価によって「信用が下がったよ」と言われてしまい、それまで盛り上がっていた米国経済楽観論に若干のストップがかかる結果となっています。

冷ます要因とリスク増

この格下げの発表は、過熱気味だった米国株相場を冷ましたというプラス面もあるようですが、リスクが増加したことには変わりありません。格付けという外部評価によって、市場の信認が変動する例はこれまでもありました。なので、自己評価が高く健全に見えていても、外部評価ではマイナスになるのは、ある意味正しい部分もあるので無視することはできません。

日本の場合

日本の場合はどうでしょうか。日本国債の外部評価についてはあまり話題にならないことが多いですが、もし外部評価によってマイナス評価になれば、国内経済への影響は容易に想像できます。特に海外の金融機関や投資家からの評価が下がれば日本の経済には大きなダメージになります。経済については国内だけを見て判断すると見誤る可能性があると考えています。日本の国債発行高は右肩上がりを続けていますが、それがどこまで耐えられるのかは誰もわかりません。やってみないとわからないのです。ただ、海外から日本国債への信認度が下がれば一気に崩れていくのは想像できます。今回の米国格付け会社による米国債格下げのように日本の国債も格下げされたら影響は大きいでしょう。その点の議論が出てこないので、逆に不安が高まります。

まとめ

米国債格下げは、経済の健全性と信認の脆弱性について、改めて考察を促しています。外部評価の重要性とそのリスク、そしてこれが他の国、例えば日本にどう影響するかについても、今後の動向調査が必要でしょう。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆