景気動向

不動産物件情報を見るだけで、時代の動きや社会の空気を感じ取ることができます。この情報は単に土地や家を取引するためのものなのですが、売れ行き、物件数の推移から景気のバロメーターとして活用できるのです。

最近、物件情報を見ると、以下の2つの特徴が明確になってきました。

増加して減っている

  1. 売り物件数が増えている
    これは新規に売り出される物件数が増えているということと、売れずに滞留する物件が増加していることの両面があります。増加するときは双方共に増えています。新規物件が増える背景には、物件を手放したい人が増えているので資金が必要な人が増えているのがわかります。
  2. 買う人が減っている
    購入希望者の数が減少していることを意味します。これには様々な理由が考えられますが、将来不安や未来への懸念が背景にあると考えられます。買う人が減ると売り物件数は増えていきます。

予測できること

これらの情報から、現在の経済状況が不安定であることと読み取ることができます。不景気なのかはまだわかりませんが、耐久財の消費が下がっているのは他のデータからもわかっています。

このデータの中で、特に注目すべきなのが、首都圏の戸建ての売れ行きの鈍化です。過去数年、コロナ禍でのテレワークの増加に伴い、都心から郊外への移住を考える人が増え、戸建て物件に対する需要が高まっていました。しかし、そのブームも一段落し、テレワークの機会が減少したことで、再び戸建ての需要が減少しているようです。

正確な数字を言うと、中古戸建て物件数は8月のデータ前年比でが36%増加しています。新規物件数も前年比で28%の増加になっています。新築のマンションは、平均の価格が1億円を超えたりと話題になっておりますが、中古戸建ての状況は少し違う様相だと感じます。

まとめ

このように、不動産物件情報は、社会や経済の動きを知る手がかりとして非常に価値があります。市場の変動や流行の移り変わり、さらには社会的な背景まで、物件情報を通して感じ取ることができるのです。ときには眺めておきたいデータのひとつです。

レインズデータライブラリー
マーケットデータ2023年

http://www.reins.or.jp/library/2023.html

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆