長期金利の上限を「1%をめど」へ

日本銀行が金融政策を見直すことを発表しました。この決定により、長期金利の上限が「1%をめど」とされることになります。金利上昇を容認した形です。この時期に見直し発言があったことは注目されており、この決定の背景や、それに伴う経済への影響を探ることにします。

なぜ

日本の経済は長らくデフレの影響を受けてきましたが、最近の経済指標からは、徐々にインフレの兆しを見せています。この背景から、日本銀行は長期金利の上限を1%めどにすることで、為替を安定させ、物価上昇を防ぎたいという意図がると感じています。円安が続くと結局のところ物価上昇は避けられないからです。物価上昇は秋から落ち着き始め、下がっていくと日銀は予想していたからです。ちょっと焦りが出ているように感じます。

とはいっても、日本の金利はまだ低いと言われており、適正な金利は2%前後ではないか、という論もアカデミックな領域から発言されている方もいます。いずれは、その程度まで時間をかけて上昇していくことになるのでしょう。

経済への影響

この金融政策の見直しは、さまざまな経済的影響をもたらすと考えています。通常なら金利上昇で為替は円高方向に振れるはずですが現在のところその兆しはありません。今後も注目する部分でもあります。金利上昇を容認したのに、意図した結果が得られない場合、次の手を考えるとき日銀は焦りとミスが発生しやすくなるのかもしれません。そうならないよう願うばかりですが、最悪シナリオも想定に入ってきそうです。後手に回ると、自然発生的な金利上昇に対応ができなくなるシナリオが考えられます。まだ先の話ですが予想のストーリーとしては付け加えしておくことになりそうです。

まとめ

日本銀行のこの政策の方針は、国内経済の成長と安定を目指すもの。長期金利の上昇は、各企業の経営の根幹が方向転換することにもなりかねません。金融機関からの借入金利が上昇するだけでなく、仕入れの価格が金利上昇分もアップしてくるからです。人件費、コストアップが当たり前になり、数年続くことは確率が高くなりました。今後の経済動向や、この政策が実際にどのような影響をもたらすのかに注目したいと思います。

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