不正という失敗から
ダイハツの認証申請における不正行為。大きな話題になっています。こうした不正が組織ぐるみで長年続いたことに驚いている人も多いでしょう。こんなとき、発生原因、把握できなかった理由、真因を見ておくことは有益。失敗事例はノウハウの宝庫だからです。成功事例からは学べることはあまりありません。再現性が低いからです。しかし、失敗事例を見れば失敗を防ぐことができるので、必ず見ておくことなのです。今回、ダイハツの不正行為について第三者委員会による調査報告書が公表されたので取り上げます。
第三者委員会による調査報告書公表のお知らせ
https://www.daihatsu.com/jp/news/2023/20231220-1.html
発生原因
なぜ、このような不正行為が発生してしまったのだろうか。社外から見れば、不思議に見えるでしょう。しかし、そこには組織内の発生原因が必ずあるものです。知っていたが、どうすることもできなかった。わかっているが、不正行為をしてしまった、という発生原因があるものなのです。今回のダイハツのケースは下記のような発生原因でした。
- 過度にタイトで硬直的な開発スケジュールによる極度のプレッシャー
- 現場任せで管理職が関与しない態勢
- ブラックボックス化した職場環境(チェック体制の不備等)
- 法規の不十分な理解
- 現場の担当者のコンプライアンス意識の希薄化、認証試験の軽視
他者と熾烈な競争をしていたので、開発スケジュールがタイトで硬直的であったことは大きな原因です。時間的な無理があったのです。短縮できない工程があったのだが不正行為によって開発スケジュールを縮めていたのです。それが長年行われており、マヒしていたと推測できます。管理職も、タイトなスケジュールを伝えるだけで、現場にはあえて関与しなかったのでしょう。指摘をするスタッフもいたと思いますが、「わたしは聞いていないからな」と言っている管理職が想像できます。会社勤めのときに上司からそのようなことを言われた経験があります。
把握できない理由
現場の実情を管理職や経営幹部が把握できなかった原因は次のとおりです。断絶が大きな要因だと感じます。断絶することで責任放棄したり、現場に責任を押し付けたりと色々あったと推測できます。ストレスフルな職場だったのではないでしょうか。
- 現場と管理職の断絶による通常のレポーティングラインの機能不全
- 補完的なレポーティングラインである内部通報制度の運用の問題
- 開発・認証プロセスに対するモニタリングの問題
真の理由
真因については下記の2点が挙げられています。短期開発を推進した経営の問題は大きいでしょう。他者に勝つためには仕方ない、と考えて判断したと思われます。しかし、歪みは大きく、不正行為の真因になってしまいました。
- 不正対応の措置を講ずることなく短期開発を推進した経営の問題
- ダイハツの開発部門の組織風土の問題
まとめ
不正行為があった場合、誰が悪い、どの部門が悪いという議論で終わってしまいます。大切なことは今後の再発防止策です。2度と発生しない仕組みをつくらなければなりません。時間がかかると思いますが、決してできないことではありませんので、今後を見守ることになりそうです。
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