株主優待でも

楽天グループの株主優待の内容がユニーク。通信SIMを配布するようです。現在SIMは物理的なSIMだけでなく、形のないeSIMもあります。情報をダウンロードして設定する手法です。このeSIMを株主に配布することにしたようです。楽天は楽天モバイルの加入が思うように伸びず、困っています。最近は法人の契約を増やしています。その他に加入数を伸ばすアイデアとして株主優待としてeSIMを配布して契約数を増やす方針です。そこまでやるのか、と感じますが、時間的余裕がないので、どんな手段でも採用している感じがします。

契約増やすには

もともと楽天モバイルの契約数を伸ばすために、グループのスタッフに新規契約を増やすように通達が出たことも過去にはあったようです。この通信の業界は、すでに市場ができあがっているので、楽天モバイルが新規契約数を伸ばすには他のキャリアから乗り換えてもらうしかありません。スイッチングをしてもらうことになります。このスイッチングがハードルが高い。乗り換えるのが面倒だからです。このハードルを越えても良いと思わせる提案がここでは求められています。

他社は

ソフトバンクが出てきたとき、どうやってシェアを広げ、契約数を伸ばしてきたのか。これは、PayPayのキャンペーンを見てもわかりますが、ソフトバンクグループは「安価」「お得」を前面に出して契約数や加入者数を増やすのが得意です。そのとき、条件があります。他社が安価な提案に対して追随してこないことです。ソフトバンクのとき、ドコモ、auは静観していました。iPhoneの導入時も同様です。ソフトバンクしかiPhoneを扱わなかったのです。これはラッキーでした。

楽天モバイルはこうした条件が揃っていません。安価、圧倒的なサービスを提供していますが、他社が追随しています。そのため優位性も差別化もできず、契約数は伸びません。これは厳しい状況です。それ以外の提案も出せない状況に陥っているのです。

まとめ

シェアを少ない数の会社が握っている市場では新規参入は難易度が高いです。シェアが伸びるときは偶然の条件が揃うこともあり、再現性がないものだと楽天モバイルを見ていると感じます。楽天モバイルが今後、どのような展開をしかけてくるのか気になるところです。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳