前兆
新たな動きが起こりました。日本銀行が、ETF(上場投資信託)の売却を初めて実行したのです。これは、日銀の新たな行動の始まりを告げるものであり、金融市場における注目のひとつです。その理由を探ります。
日銀、23年に株式の「売り手」に ETF購入開始後で初
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD052PO0V00C24A1000000/
日銀の一歩
長らく、中央銀行による間接的な株式購入、すなわちETF購入は、禁じられた領域でした。禁じ手と呼ばれています。影響が大きすぎるからです。しかし、日銀はこの未知の海に船を進め、ETF購入を行ってきました。日本の株価を日銀が間接的に支えていたのです。今回は、さらにはその手仕舞いを始めたことが注目です。これは、金融政策の新たな局面を示しています。
始まりとその意味
この背後には、今後避けられない金利上昇と、それに伴う日銀の損失補填の必要性があると考えています。国債の含み損が生じた際に、株式売却による利益でこれを補うというのがその理由です。日銀植田総裁は、過去にETF購入による含み益について言及しており、今回の行動はその発言を実現するものと言えるでしょう。
タイミングは
また、新NISAのスタートは、株式市場に新たな資金をもたらすはずです。このタイミングでのETF売却は、市場における流動性を考慮した賢明な戦略と言えます。株価の上昇局面でしかETFの売却はできません。継続的な株価上昇を見込んでの決断だと感じます。
そうなると2024年の株価上昇は既定路線となります。新たな資金が投資として株式市場に流入するチャンスはそれほどありません。そのため、このチャンスを逃さないようにするためにETF売却をスタートさせたのだと思います。
まとめ
このできごとは、あくまでもスタートです。日銀のETF購入金額が大き過ぎるので、売却するのに10年、20年かかると言われていました。その第一歩が刻まれたにすぎません。
金融政策の微妙な舵取りが今後の経済を左右します。今回の動きは小さなものかもしれませんが、ETF購入から売却へ方向転換したのは事実。ここから読み取れることを理解して、今後の予測に役立てていきたいです。金利のある世界へ戻ることはほぼ決定されたと思っていいでしょう。
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