経営判断するために

製造業においては、工場の稼働を維持することが経営の大きな課題となります。特に季節による需要の変動が大きい場合、この課題はより顕著になります。このような受注が減少する時期には重大な経営判断が求められます。工場稼働の継続は、至上命題であり、企業の生産能力を維持し、従業員の雇用を保証する上で不可欠なのです。そのための価格戦略について考えてみたいと思います。

受注戦略としての価格調整

受注が入らない時期には、受注金額を下げることも一つの戦略です。この場合、利益を最大化することよりも工場の稼働を維持することが優先されます。製造原価だけでの受注は、短期的には利益を圧迫するかもしれませんが、長期的な視点では企業の生産能力と市場での地位を保つために重要な選択となり得ます。たとえば、印刷業界は価格が変動するのは工場稼働率と連動しています。閑散期は価格が安くなる傾向にあるのです。

経営判断の難易度

このような価格戦略の採用は、簡単な決断ではありません。利益率の低下は企業の財務状態に影響を与えるため、経営者は短期的な損失と長期的な利益のバランスを慎重に考慮する必要があります。また、市場価格を不当に下げることによって業界全体の価格崩壊を招くリスクも考慮しなければなりません。安易に選択すべきではない決断になるのです。

どこまで

価格戦略はどこまで考慮していいのか、価格について事前にシミュレーションしておくことです。段階的にこの価格なら、どこまでまかなえるかをはっきりさせておくのです。そのシミュレーションなしで価格を決めてしまうと、とんでもないマイナスになることもあるのでバランスがここでは求められます。非常に小さな数字にこだわることになります。

まとめ

製造業における経営判断は、多くの場合、単に利益を追求するだけではなく、長期的な企業の生存と成長を考慮する必要があります。特に工場の稼働維持は、企業の基盤を守る上で重要な要素です。このような状況下での価格戦略の採用は、短期的な損失を受け入れつつ、長期的な視野での企業の持続可能性を確保するために最終の選択と言えます。あまりこの決断をしたくはありませんが、選択肢としてどこまで価格を考慮するのかは事前に考えておきたい部分です。

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