講演内容から

日銀の発言を定点観測するとわかることがあります。今回は、日銀の内田副総裁が奈良県で行った講演内容から見ていきます。下記のような内容で講演されています。

  • わが国経済は、緩やかに回復しています
  • 。企業収益は、大企業・中小企業ともに最高益の水準にあります
  • 今年度の設備投資計画は、人手不足への対応や、脱炭素、デジタル関連などを中心に、前年比12%の増加が見込まれています
  • 家計部門では、名目賃金の上昇を主因に、雇用者所得が増加していますが、物価上昇に追いついていません
  • 個人消費は、の旅行や外食などの「サービス」が増加しているが(中略)値上がり幅が大きかった食料品や日用品(非耐久財)では減少
  • 海外経済は回復ペースが鈍化していますが(中略)緩やかに成長していく見通しです
  • 米国では「ソフトランディング・シナリオ」が優勢になっています
  • 中国経済は、労働市場や不動産市場などに調整圧力を抱えています

最近の金融経済情勢と金融政策運営
日本銀行副総裁 内田 眞一
2024年2月8日

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko240208a.htm

累計で

今回の内田副総裁の発言でも触れられているマイナス金利解除は日銀サイドから3回目のメッセージ発信になります。そうなると次のようなことが想像できます。

  • 日銀はマイナス金利解除に向けて3度にわたってメッセージを発信している
  • 市場関係者の中には解除がほぼ決定と判断している
  • 日銀は市場の過剰反応を懸念し、慎重な姿勢も崩していないし表現がそのような慎重姿勢である
  • 今後、日銀は経済指標や春闘の結果などを注視しながら、解除のタイミングを判断していくと思われる

いつもながらですが、日銀は市場の過剰反応を避けるために、慎重な表現を用いているのがわかります。遠回しにメッセージを発信している状態です。わかりにくいですね。ただ、マイナス金利解除が既定路線に入ったのは感じます。あとはタイミングだけを見定めている時期に来ているのでしょう。

まとめ

金利の上昇はプラス面、マイナス面があるので、慎重に対応しているのがわかります。企業サイドでも個人でも影響は出てきます。個人の場合は住宅ローンに影響が出ないように対応していくと思われます。住宅ローン貸し倒れが発生し、ニュースで取り上げられるようになると景況感は一気にマイナスへと流れていく可能性も否定できません。そのための慎重に長期間かけて方向転換すると思われます。

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