気づかないうちの落とし穴

バブルという経済現象は、しばしばその時代の最先端を行くかのように見えます。興奮と楽観に包まれた時期は、まるで永遠に続くかのように感じられます。しかし、歴史は繰り返し、バブルが崩壊して初めて、その真実が明らかになっていくでしょう。下記のような名言が存在しているのも、意味があることだと感じます。

米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めた経済学者、アラン・グリーンスパン氏の名言
「バブルは崩壊してはじめてバブルだと分かる」

https://diamond.jp/articles/-/249496

バブルの中の錯覚

バブル期間中、人々は極度の楽観主義に包まれ、リスクへの感受性が鈍くなります。不動産や株式市場での価格上昇が継続するとの確信に近い信念が広がり、投資がさらに投資を呼びます。「すぐ儲かった」「必ず儲けられる」といった会話は最近でも直接耳にしました。その事実は否定できませんが、この先、1年後、2年後はどうなるのでしょうか。こうしたバブル期の興奮はしばしば現実の基盤から乖離しており、持続可能性に欠けると感じてしまいます。

無視される警鐘

バブル期には、警告の声も上がりますが、それらは楽観的な大合唱にかき消されがちです。人は、前例のない利益に目を奪われ、過去のバブル崩壊の歴史から教訓を引き出すことを怠ります。バイアスがかかっており、見たい結果だけしか見なくなります。自分の意見と似た意見を集めようともします。その結果として、バブルは永遠の繁栄の象徴と錯覚され、その崩壊の予兆に目を向けることはほとんどありません。

崩壊は来るのか永遠か

バブルが崩壊してしまうと、その影響は経済全体に及びます。価格の急激な下落、失業率の上昇、そして多くの企業や個人の破産が発生します。この時点で初めて、多くの人々がバブルの実態に気づきます。しかし、その時には既に手遅れで、回復には長い時間が必要となります。数年単位で回復まで時間がかかるのが普通です。そんなシナリオは100通りあるシナリオのうちの1つにすぎませんが、可能性は0%ではない、ということだけ認識しておきたいと思います。

まとめ

「バブルは崩壊してはじめてバブルだと分かる」という言葉は、経済現象だけでなく、人間の心理にも当てはまります。バブル期間中の興奮に流されず、冷静な判断を保ち、持続可能な判断を心がけることです。経済の循環を理解し、過去の教訓から学ぶことで、未来のバブルに備えることができると思います。下がったら上がる、上がったら下がる、というサイクルは不変です。必ず発生するのは確実で、いつ発生するかがわからないだけです。しかも長期サイクルなので、1年間の中でサイクルが回ることもなく、数年単位で周期が発生する事象なので、予想がなかなかできないものです。「まさか」だけは、忘れないようにしておきたいと思います。

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