組織内の衝突

他部署に依頼をしたとき、気持ちよく「いいですよ」と言ってほしい。しかし、現実には「それはちょっと・・・できません」と言われたりすることもあります。繁忙期などは、ひとり当たりの仕事量が増加するので、特に敏感に反応する人も増えてきます。また成長期のチームでは、業績好調なのですが、仕事量が増えるだけと考える人もいて、反応に差が出るのです。こうしたとき、何がポイントになるのでしょうか。

なぜ発生するの

会社や組織は、全員が同じ目標に向かって努力しているはずです。しかし、日常的に「それはできない」というような言葉を耳にすることがあります。こういった言葉にカッとなってしまう人も多いでしょう。なぜ、このような状況が発生するのでしょうか。

それは、自分の基準を相手に当てはめたり、相手に大きな期待を持っているからです。自分と違うレベルの相手や、期待と異なる返答や行動に対して、思わず感情的になってしまうのです。自然とここまではやってくれると自分の中で勝手に決めてしまっているのも事実。それが強すぎるほど、カッとなるわけです。

衝突から溝へ

この感情的な反応が、組織内の小さな衝突を生み出してしまいます。一度衝突が起こると、当事者間の関係は平行線をたどるか、徐々に離れていくことになります。当事者は「意味がわからない」「理解できない」という状況に陥ったまま、できないと言った人を許せない感情を抱えていくこともあり溝は深まるばかり。冷戦が10年近くも続いているケースも見たことがあります。

クリアするには

では、この課題をクリアできる人はいるのでしょうか。実際には少ないように感じます。権限を持つ人は、その権限を振りかざしながら表面的な解決を図ろうとします。しかし、その解決は表面的なものに過ぎず、行動しているように見えて実際には手を抜かれていたりするのです。解決には至っていません。

なので、真の解決には、「できない」と言っている人の心情を深いレベルで理解することが必要だと経験則から感じています。単に相手の立場に立つだけでは不十分で、かなり深い地点まで理解したいです。

相手が「できない」と言う背景には、様々な事情や制約があるはずです。例えば、スキル不足、時間的制約、リソースの不足、他の優先事項の存在などです。これらの事情を十分にヒアリングし、共感することからだと強く感じています。

理解してスタート

また、「できない」と言う人自身も、自分の能力不足や環境的制約に苦しんでいるかもしれません。できないと言うことで、自尊心が傷つき、無力感を感じているかもしれません。こういった心情にも寄り添う必要があります。

相手の立場に立ち、深いレベルで理解することで、初めて建設的な対話が可能になります。対等に話せる雰囲気の醸成がスタートです。「できない」という言葉の裏側にある真の意味を探り、お互いに歩み寄るためにスタートできるかが大きなカギになります。

もちろん、これは簡単なことではありません。自分の期待や基準から離れ、相手の心情に寄り添うことは、大きな忍耐を要します。避けて通れないポイントです。

まとめ

組織内の衝突を乗り越えるために、一人一人が、相手の心情を深く理解しようとするプロセスからスタートです。そうすることで、「できない」という言葉に隠された本当の気持ちを見出し、心裏がわかるでしょう。その深さが推進力へとつながります。

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